12球団で唯一チーム本塁打0のオリックス
プロ野球が開幕して、10試合前後。ようやく1巡目のカードが終わろうとしている。パ・リーグに、昨季までとは考えられない現象がおきている。本塁打が少なすぎるのだ。開幕カードの3連戦では、何と本塁打0。これは史上初の出来事だった。
ある評論家は「寒いから打者がかじかんでいる。球場や開幕時期を考え直せ」と指摘した。だが、セ・リーグも同時期の開幕。球場を比較しても、セが東京ドーム、京セラドーム、マツダスタジアムの3球場。パは西武ドーム、QVCマリン、koboスタ宮城の3球場。セはドーム2球場、パはドーム1球場と、その違いは確かにあるだろう。しかし、寒いから打者がかじかむことはセも同じことだろう。
さらに、不思議な現象がおきている。オリックスが、4月8日現在でチーム本塁打が0なのだ。オリックスには昨季、中日からブランコ内野手が移籍加入した。2013年にはDeNAで41本塁打を記録した主砲候補だったが、その後はケガに泣かされた。
今季も二軍戦で右膝を故障するなど、復帰まで時間がかかりそう。ブランコ不在が響いているのかもしれない。だが、本塁打を期待できそうな選手はまだいる。新助っ人のボグセビック、同じくモレル、T-岡田、糸井嘉男、中島宏之など。揃いも揃って、ここまで本塁打0は、普通ではないだろう。
T-岡田、ブランコらの奮起に期待
昨季のオリックスはチーム本塁打94本。リーグ4番目だった。糸井嘉男が17本、T-岡田が11本、中島が10本と、彼らのレベルから考えれば、物足りない数字。得点力アップのためには、やはり外国人のパワーが必要なのかもしれないが、ボグセビックとモレルの両外国人は、どちらかといえば中距離砲。ブランコの復活を待つしかないのか。本塁打0もそうだが、チーム打率も4月8日現在で.239、リーグ5位と低調。得点力が低い上、チーム防御率も5.77とリーグ最低。当然のように、最下位に沈んでいる。
10年に、T-岡田が33本塁打を放ち、本塁打王を獲得した。「浪速のゴジラ」と呼ばれ、背番号55を付けたパワーヒッターは、その後の5年間で伸び悩んでいる。また、中島も西武時代に08年から10年まで3年連続で20本塁打を記録するなど、長打力は十分。そして、糸井だ。日本ハム時代には、広い札幌ドームで逆方向の左へ本塁打を打つ技術とパワーを持っていた。彼らの真の復活がなければ、オリックス打線は蘇らない。
かつて、阪急時代には長池徳二やブーマーなど、数々の本塁打王を輩出した。加藤秀司や島谷金二、簑田浩二ら魅力的なホームランバッターもいた。本塁打だけが野球ではないが、本塁打は一発で試合を決めることができるなど、野球のもっともおもしろいところだろう。
オリックスは、今季(昨年秋)から高橋慶彦打撃コーチが就任した。高橋といえば、広島時代の79年に33試合連続安打の日本記録を樹立するなど、広島黄金時代を築いた一人。広島のリードオフマンとして、一世を風靡した。打撃コーチ就任時には「野球は打つスポーツで、見逃すスポーツじゃない。昼も夜もバットを振らせる。振る量も増えるでしょう」と話し、昨秋から春季キャンプまで、選手を“素振り漬け”にした。その成果が今後、出てくることを期待したい。