マエケンに立ちはだかる強力ライバル
現地時間4月6日、前田健太がメジャー初登板・初先発を勝利で飾った。
投げては走者を背負いながらも落ち着いた投球で、6回を無失点の好投。さらには打っても第2打席でレフトへの本塁打を放ち、メジャー初安打を本塁打でマーク。このマエケンの一発が今シーズンのドジャースのチーム1号であったこともあり、現地は「マエケン劇場」に大いに沸いた。
全米を熱狂の渦に巻き込んだ前田。ピッチャーがデビュー戦で本塁打を放つのは、ドジャースでは69年ぶりの快挙だという。それだけ大きなインパクトを残しただけに、いきなりの「週間MVP」なんてことにも期待を抱いてしまうが、そんな夢を打ち砕くような活躍を見せる選手がいる。ロッキーズのトレバー・ストーリーだ。
ストーリーはここまでの開幕6試合で7本塁打と驚異的なペースで本塁打を量産。メジャー全体のトップにつけている。打率は.333で7本塁打、12打点。打った安打が9本で7本塁打を記録しているというのもすごいが、その中で三振も8つ喫しているという点もすごい。なんともロマンにあふれた選手なのだ。
さらにもっと驚くべきことは、このストーリーという選手がメジャー1年目のルーキーであるということ。今年デビューしたばかりの23歳が、早くもメジャーを席巻するような活躍を見せているのである。
「サクセス・ストーリー」はどこまで続く...?
2011年のドラフトで、ロッキーズから1巡目(全体45番目)の指名を受けたストーリー。高卒での指名だったため、じっくり育てられるものと思われていたが、昨シーズン2Aと3Aの合計で20本塁打、80打点をマーク。さらに二塁打は40本、三塁打も10本放ち、盗塁も22個決めるというスケールの大きさを見せ、一気に頭角を現した。
それでも、三振の多さや内野守備の不安からレギュラー抜擢を推す声は大きくなかったが、正遊撃手のホセ・レイエスが昨オフに妻への暴行容疑で騒動を起こし、その処分のために開幕は絶望。そんなこんなで空いた「2番・遊撃」の座にストーリーが入ると、誰も思ってもみなかった“サクセス・ストーリー”の幕が開けた。
デビュー戦となった現地時間4月4日のダイヤモンドバックス戦で、メジャー屈指の好投手として知られるザック・グリンキーから2本塁打を放つ活躍。チームを勝利に導くと、開幕3連戦で3連発の大暴れ。メジャーの長い歴史でも初となる“デビュー3戦連発”というロケットスタートを見せる。
さらに現地時間8日のパドレス戦でも2本塁打を放ち、開幕4戦連続の本塁打。連続記録はここで途切れるものの、1日空けた現地時間10日の試合でも本塁打をかっ飛ばし、6戦7発という驚異の成績を残している。
ちなみに、ナ・リーグ西地区のロッキーズということで、ドジャースとは同リーグで同地区の所属。直近の「週間MVP」のみならず、「月間最優秀新人」や、その先にある「新人王」まで、この男はすべてにおいて前田健太の前に立ちはだかることになるのだ。
「トレバー・ストーリー」。メジャー1年目のマエケンを応援していく上で、この名前は避けて通れない。