新監督同士による新たな「伝統の一戦」
巨人と阪神による“新たな「伝統の一戦」が、東京ドームで幕を開けた。
両チームとも多くのファンを有するプロ野球界きっての人気球団であり、故に大きな注目を集める。もちろん、東京と関西という地理的な関係性も、対戦を盛り上げる要因の1つだ。
4月5日~7日にかけて行われた今季最初の3連戦は、阪神の2勝1敗という結果に。両者の威信をかけた戦いは、まずは関西に軍配が上がった。
投打の成績から見る“初顔合わせ”
この3連戦は、巨人が“阪神キラー”のポレダにエース・菅野智之を立て、3戦目にはプロ入り3年目で初登板・初先発となった平良拳太郎を抜擢。一方の阪神は、藤浪晋太郎、岩田稔、メッセンジャーを並べた。この3連戦のスコアは以下の通りである。
【巨人-阪神の3連戦結果】
・5日 ● 巨人 2 ― 8 阪神 ○ <勝>藤浪 <敗>ポレダ
・6日 ○ 巨人 3 ― 0 阪神 ● <勝>菅野 <敗>岩田
・7日 ● 巨人 1 ― 10 阪神 ○ <勝>メッセンジャー <敗>平良
こうして見ると、先発投手がそのまま責任投手になっている。巨人としては菅野が完封勝利を挙げて孤軍奮闘したが、相性の良いはずのポレダが打ち込まれて初戦を落としたのが痛かった。先発投手が「あと1人か2人はほしい」というのが、正直なところだろう。
次に打者に目を向けてみる。本塁打は1戦目が堂上剛裕の1号(巨人)、2戦目はなし、3戦目は福留孝介の2号と江越大賀の2号(以上阪神)の合計3本。本塁打の出やすい東京ドームにしては、少なかったようにも思う。
また、この3連戦では両チームともクリーンナップの3選手が不動だった。成績を比較すると、以下のようになる。
<阪神>
3番:ヘイグ (三) 率.364(11-4) 0打点
4番:福留孝介(右) 率.200(10-2) 4打点
5番:ゴメス (一) 率.083(12-1) 1打点
【合計】打率.212(33-7) 5打点
<巨人>
3番:坂本勇人 (遊) 率.273(11-3) 0打点
4番:ギャレット(一) 率.111(9-1) 1打点
5番:クルーズ (二) 率.091(11-1) 2打点
【合計】打率.161(31-5) 3打点
こちらも阪神が上回っているが、両チームの投手陣がしっかりと相手の中軸を抑えたと言える。
6人の中で、3割以上打ったのはヘイグのみ。ゴメス、クルーズの両5番に至っては、打率1割にも満たなかった。それでも阪神は、3連戦で18得点。要するに、クリーンアップ以外の選手がよく打ったということだ。
「伝統の一戦」がペナントの行方を左右する!?
昨季の同カードでは、巨人が16勝9敗と大きく勝ち越した。
阪神は、昨季の交流戦でセ・リーグのチームとして唯一10勝8敗と勝ち越しながら、最終的には70勝71敗2分と負け越してリーグ3位に終わった。巨人戦の負け越しがなければ...とまでは言わないが、もう少し負け越しを抑えられていれば...というのが本音だろう。
ここまでの状態を見る限り、今年のセ・リーグはこの2チームを中心とした上位争いが繰り広げられる可能性が高い。今年も巨人-阪神の直接対決が、ペナントレースの行方を大きく左右しそうだ。
沢村栄治によるプロ野球初のノーヒットノーラン、展覧試合での長嶋茂雄のサヨナラ本塁打、阪神クリーンナップの甲子園バックスクリーン3連発など...、数多くの“名勝負”が生まれたこの「伝統の一戦」。
ここまでの通算成績は、巨人の1016勝788敗67分け。次の“顔合わせ”は、4月26日から甲子園で行われる3連戦となる。今年も「伝統の一戦」から目が離せない。