「ルーキー当たり年」も...
キャンプ、オープン戦でルーキーたちの活躍が光り、「当たり年」などという見出しも踊っていた開幕前。たしかに、阪神打線を先頭で引っ張る高山俊をはじめ、楽天の茂木栄五郎や広島の横山弘樹、DeNAの今永昇太、ヤクルト・原樹理らスタメンやローテーションの一角に割って入るルーキーが多くいる。
しかし、現在セ・リーグ首位を走る巨人を見てみると、一軍に新人選手の名前がないことに気がつく。今年巨人に新加入した新人選手は以下の通りだ(育成は除く)。
【巨人の新人選手】※育成ドラフトは除く
2位 重信慎之介(外野手/早稲田大)
3位 與那原大剛(投手/普天間高)
4位 宇佐見真吾(捕手/城西国際大)
5位 山本泰寛(内野手/慶応大)
6位 巽 大介(投手/岩倉高)
7位 中川皓太(投手/東海大)
8位 松崎啄也(内野手/日本製紙石巻)
即戦力と評判だった桜井の単独1位指名に成功するなど、大卒選手中心の指名。巨人の堤GMはドラフト後、「ポジションの割り振りなど、ほぼ思った通りのドラフトになった」と、満足そうにコメントしている。
キャンプで話題を振りまいたドラ1・桜井とドラ2・重信
迎えた2月のキャンプ。何と言っても高橋由伸新監督に注目が集まる中、選手では桜井と重信が取り上げられていた。
特に重信は開幕スタメンもいけるのでは、という高評価。事実、キャンプで評価を上げた快足外野手はオープン戦でも1番や2番で起用され、首脳陣にその武器を猛烈にアピールしていた。
ところが、序盤こそ打率3割をキープしていたものの、徐々にプロの壁にぶち当たる。オープン戦も中盤から終盤にかけて徐々に主戦級の投手たちが投げるようになると、一気に成績が下降。最終的には打率.184と低迷した。
開幕一軍入りこそ果たしたが、3月26日のヤクルト戦に代打で出場し、一ゴロ。結局一軍での打席はそれだけで、その後は二軍に降格している。
一方、ドラフト1位の桜井も、オープン戦の最終戦、3月21日の西武戦に先発し、5回無失点の好投。オープン戦全体では防御率4.50といまひとつだったが、最後のアピールで開幕一軍を勝ち取り、先発ローテーション入りを果たした。
しかし、巨人の開幕5連勝がかかったDeNA戦。プロ初登板・初先発の桜井は、初勝利の権利がかかった5回につかまる。3点のリードをもらいながら、この回だけで5安打を集中され、2つの死球も絡んで4失点。一気に逆転を許し、試合もそのまま3-6で敗れた。
桜井の登板は結局この1試合だけ。一軍での成績は0勝1敗、防御率8.31で、4月1日には右肘の違和感を発症し、登録を抹消されている。
下位から思わぬ“掘り出し物”も…?
開幕から1カ月が経とうとしているプロ野球。重信と桜井の2人は今、どう過ごしているのだろうか。
重信はというと、4月19日(火)現在で13試合に出場。48打数の10安打で打率.208と苦しい状態が続いている。その中でも盗塁はリーグ3位タイの5つを記録しているだけに、打撃の向上が待たれる。
また、桜井は二軍での登板もなく、復帰時期は未定。箇所が箇所だけに、調整が長引く可能性もあるため、球団としても慎重にならざるをえない。
活躍が期待されたドラフト1位・2位コンビが苦しみ、期待は裏切られる結果となってしまった。しかし一方で、ここに来て猛アピールする選手も現れている。5位指名の山本だ。
ここまで打率.286を記録し、出塁率は.383と活躍。存在感を発揮している。大学時代から走攻守に非凡な才能を見せており、このままアピールを続けていれば早い段階で一軍昇格という可能性も十分にある。
さらに、7位指名の中川は早くもファームで2勝をマーク。チームにとっても貴重な“左腕”だけに、こちらも期待大だ。
巨大戦力の中、這い上がって頭角を表す選手は出てくるか。巨人のルーキーたちの奮闘はつづく。