新生・由伸巨人を支えるメキシカン
由伸巨人が開幕ダッシュに成功した。
20試合を終え12勝7敗1分、2位の広島と中日に1.5ゲーム差をつけて首位快走。熊本地震の影響で19日と20日の中日2連戦が中止となり、次戦は22日の本拠地東京ドームで開催されるDeNA戦が予定されている。
ここまでリーグ2位のチーム防御率3.28と投手陣が奮闘し、昨年貧打に泣いた打撃陣もリーグ3位のチーム打率.260と12球団トップの19本塁打を記録。その好調打撃陣の中心にいるのが新戦力のルイス・クルーズである。
開幕から全試合にスタメン出場し、打率.316、4本塁打、14打点をマーク。OPS.863、得点圏打率も.375と5番打者としてチームを牽引。4番ギャレットが欠場した試合では“代役4番”を務め、不動の遊撃手・坂本がコンディション不良の時は代役遊撃手を任せられる万能性。これこそ巨人が長年求めていた助っ人選手である。
2つの不安を1人で解消!
原監督時代の問題点のひとつは、坂本勇人と片岡治大のどちらかがスタメンから落ちると途端にチーム力がダウンすることだった。
坂本は08年にショートのレギュラーに定着して以来、毎年ほぼ全試合にフル出場。片岡は昨季、自身5年ぶりとなる2ケタ本塁打に21盗塁と、こちらも存在感を発揮。片岡と坂本がコンビを組む二遊間は、原巨人の代えが効かないストロングポイントだった。
ところが、その坂本は昨年4月末に左ふくらはぎの張りで離脱。07年9月以来、約8年ぶりの登録抹消となると、片岡も6月に右ふくらはぎの肉離れで戦線離脱。代役として、昨年限りで引退した大ベテラン井端弘和が奮闘した。
つまり、坂本と片岡が離脱すると一軍レベルの二遊間の控えに40歳の内野手しかいないチーム状況だったわけだ。オフにFA復帰した脇谷亮太も、昨季は一軍で1度もセカンドとショートを守っていない。
そこで白羽の矢がたったのが、メジャー時代に遊撃経験もあり、ロッテでは二塁でゴールデングラブ賞を獲得したクルーズである。もちろん昨季16本塁打、73打点のクルーズならば、二遊間問題だけでなく貧打解消の起爆剤としても期待できる。(※15年シーズンの巨人打線では、阿部と長野の15本塁打、坂本の68打点がチーム最多だった)
ヤクルトとの開幕3連戦では、「5番・セカンド」として計10打数6安打で4打点と爆発し、チームの3連勝に貢献。今月13日のヤクルト戦からコンディション不良の坂本がスタメンを外れると、クルーズは「5番・ショート」として先発出場を続け、その間チームも3勝1敗の好成績を残している。
攻守に渡り救世主的な活躍を見せる陽気なメキシカン。ルイス・クルーズは「貧打解消」と「二遊間の補強」という由伸巨人の弱点をたったひとりで埋めつつある。
文=中溝康隆(なかみぞ・やすたか)