苦しい台所事情を支える“何でも屋”
開幕から20試合を消化し、ここまで5勝14敗1分でセ・リーグ最下位に沈んでいるDeNA。アレックス・ラミレス新監督を迎えた「DeNA創設5年目」のシーズンは、苦しい出だしとなった。
そんな低迷するチームの中で頭角を現してきたのが、6年目の右腕・須田幸太。ブルペンを支える“何でも屋”として存在感を発揮する29歳の男である。
2010年のドラフト1位でDeNA(※当時は横浜)に入団した須田。早稲田大時代には現日本ハムの斎藤佑樹らと共に戦い、リーグ優勝に貢献。個人としても大学4年の春には最優秀防御率のタイトルを獲得している。
大学卒業後は社会人へと進み、JFE東日本のエースとして活躍。早大時代の後輩にあたる大石達也の“外れ1位”という形で当時の横浜から指名を受けた。
見た目からは想像もつかないような熱い男?
今シーズンはここまで10試合に登板。2試合に1回というペースでマウンドに登り、1勝1敗の防御率2.70。勝ちパターンというよりは同点、もしくはビハインドの場面での登板が多く、連投も難なくこなしている。
その愛らしい見た目からは想像もつかないほどの熱い男。マウンド上でもクールに映るが、闘志むき出しの強気な投球がウリで、その胸の中は闘争心で燃え滾っているような投手なのだ。
昨年は29試合に登板。うち先発は5試合で、残りの24試合は中継ぎで登板した。3勝2敗、1セーブで3ホールド。この数字からも須田のユーティリティー性がお分かりいただけるだろう。2014年はわずか9試合の登板だっただけに、中継ぎに転向してから花開いた選手と言っても過言ではない。
ピンチの投球こそこの男の真骨頂!
昨シーズン、須田の登板で非常に印象に残ったゲームがある。9月5日に横浜スタジアムで行われた巨人戦だ。
2点差で迎えた9回、3番手で登板した長田がつかまり、1点差に迫られたDeNA。なおも一死一三塁、同点どころか逆転の走者まで背負った中、4番手として名前を呼ばれたのが須田だった。
絶体絶命のピンチで登場した須田は、代打・アンダーソンを速球で空振り三振。二死とすると、続く代打の堂上剛裕も中飛に打ち取り、自身プロ初セーブ記録した。
チームを救った男は「ヤスアキの気持ちが痛いほど分かりました」と苦笑。しかし、守護神の山崎康晃が仮にアクシデントで離脱するようなことがあれば、その代役に須田というのは十分考えられる。
ピンチの状態を、楽しむかのように投げ込む。直近でも4月1日の阪神戦から7試合続けて無失点投球と安定感を発揮しており、中継ぎから抑え、ロングも短いイニングも、どんな場面でもこなせるまさに“何でも屋”。須田幸太の投球がチームを支えている。