実は巨人の課題「先発左腕」
27日、甲子園球場で行われた阪神-巨人の“伝統の一戦”は、巨人が11-1で阪神に圧勝。2連勝でカード勝ち越しを決めた。
打っては主将・坂本勇人の2本塁打、5打点の活躍で、投げては先発した田口麗斗が9回を1失点で完投。まさに投打が噛み合った試合展開で、“完勝”と呼ぶにふさわしい勝利だった。
高卒3年目左腕の田口は、今シーズンの1勝目をプロ初の完投勝利で飾った。杉内俊哉や内海哲也といった主戦級の左腕を欠いたチームの中、今回の田口に加え、24日のDeNA戦では5年目・22歳の今村信貴が6回途中無失点の快投で約2年ぶりとなる一軍勝利。ここに来て待望の若手左腕が奮闘を見せている。
最近では不振に悩む打線の方に目が行きがちであったが、実は“先発左腕”というポイントも巨人の弱点のひとつ。内海や杉内といった柱が活躍していた陰で、出て来るべき若手たちが揃って伸び悩み。いざ2人が離脱してみると、計算の立つ投手たちがいないことに気がつく。
振り返ると際立つ内海の偉大さ…
かつてのエース・内海も現在34歳。杉内は10月で36歳を迎える。まだまだ終わる歳ではないが、キャリアの終わりが着々と近づいていることも事実だろう。
そこで、偉大な2人の後を継ぐような若手左腕投手は...と考えてみると、なかなかパッと名前が浮かんでこない。巨人の若手先発左腕と言えば誰がいただろうか。以下は、ここ6シーズンで「20代の日本人先発左腕」が挙げた勝利のまとめである。
【巨人の20代日本人先発左腕の勝利】
● 2016年
4月24日 vs.De [勝] 今村信貴
4月27日 vs.神 [勝] 田口麗斗
● 2015年
4月11日 vs.ヤ [勝] 田口麗斗(※当時19歳)
6月2日 vs.オ [勝] 田口麗斗(※当時19歳)
9月21日 vs.中 [勝] 田口麗斗
● 2014年
4月17日 vs.ヤ [勝] 今村信貴
● 2013年
9月23日 vs.広 [勝] 今村信貴
10月1日 vs.ヤ [勝] 阿南徹(※当時29歳)
● 2012年
4月12日 vs.中 [勝] 内海哲也(※20代最後の登板)
● 2011年
4月13日 vs.ヤ [勝] 内海哲也
4月20日 vs.神 [勝] 内海哲也
5月6日 vs.中 [勝] 内海哲也
5月12日 vs.横 [勝] 金刃憲人
5月13日 vs.広 [勝] 内海哲也
5月21日 vs.日 [勝] 内海哲也
5月28日 vs.ロ [勝] 内海哲也
6月4日 vs.楽 [勝] 内海哲也
6月11日 vs.オ [勝] 内海哲也
6月18日 vs.西 [勝] 内海哲也
7月19日 vs.中 [勝] 内海哲也
8月4日 vs.神 [勝] 内海哲也
8月10日 vs.横 [勝] 内海哲也
8月30日 vs.横 [勝] 内海哲也
9月6日 vs.中 [勝] 内海哲也
9月25日 vs.神 [勝] 内海哲也
10月1日 vs.広 [勝] 内海哲也
10月12日vs.神 [勝] 内海哲也
10月22日vs.横 [勝] 内海哲也
2011年といえば、内海が18勝を挙げて最多勝を挙げたシーズン。この年、内海は29歳だった。
2012年に内海が30歳の誕生日を迎えると、「20代日本人先発左腕」は一気に枯渇。今年勝利を挙げた田口と今村を除くと、2013年の阿南徹と2011年の金刃憲人しかいない。ちなみに、阿南は今年の7月で32歳を迎え、金刃は2013年から楽天に移籍している。
こういった現状を見ると、いま殻を破ろうとしている田口や今村という存在は、球団にとっても希望の星。ローテーション定着なるか、2人のこれからに注目だ。
▼ 田口麗斗
生年月日:1995年9月14日(20歳)
身長/体重:171センチ / 80キロ
投打:左投左打
経歴:広島新庄高-巨人(2013年・ドラフト3位)
[今季成績] 5試 1勝1敗 防2.61
[通算成績] 18試 4勝6敗 防2.68
▼ 今村信貴
生年月日:1994年3月15日(22歳)
身長/体重:180センチ / 84キロ
投打:左投左打
経歴:太成学院大高-巨人(2011年・ドラフト2位)
[今季成績] 5試 1勝0敗 防2.45
[通算成績] 21試 4勝2敗 防4.18