地元・横浜高出身の倉本
アレックス・ラミレス新監督を迎え、2016年シーズンを戦うDeNA。しかし、4月27日現在、チームは最下位に低迷している。投手陣は巨人に次ぐチーム防御率3.19と健闘しているものの、打線はリーグ最下位のチーム打率.227と「投高打低」な状態が続いている。
中でもルーキー・今永昇太は好投を続けているが、打線の援護がなく、いずれも勝ちにつなげることができなかった。そんな低迷するDeNA打線にあって、孤軍奮闘しているのがプロ2年目・倉本寿彦だ。チームの規定打席到達者で唯一打率3割を超え、「守備の人」というイメージを払拭しようとしている。
地元・神奈川出身の倉本にとってDeNAとは、「わが街」のチームだった。小学生時代は友人とともに本拠地・横浜スタジアムに足繁く通い、憧れの選手だった石井琢朗のプレーに魅了される。現在、倉本が身にまとうのは、かつて石井琢朗(現広島コーチ)が付けていた背番号5。ポジションも同じショートと何か見えない縁を感じさせる。
高校は強豪・横浜高校へ。厳しい競争の中、倉本は1年秋からベンチ入りを果たし、3年時には1番打者として春夏と連続で甲子園に出場。90回の記念大会となった夏は、ベスト4に輝いた。ちなみに1年学年下には、現在も同じチームでプレーしている筒香嘉智がいた。
高校卒業後、倉本は創価大へ進み大学4年になると、ドラフト指名候補選手にまで成長を遂げる。ドラフト当日、指名を待っていた倉本だったが、自身の名前が呼ばれることはなかった。指名漏れとなった倉本は日本新薬に入社。高い守備力を誇るショートとして評価を高めていき、入社2年目の2014年には、アジア大会の日本代表に選出される。そして迎えた秋のドラフト。倉本は小さい頃からファンだった地元のDeNAにドラフト3位で指名され、プロ野球選手としてスタートを切った。
プロ入り後は1年目から102試合に出場
1年目の昨年はルーキーながら開幕戦に「7番・ショート」で出場。しかし打撃不振に陥りシーズン途中には二軍落ちを味わう。再び一軍に戻った倉本はシーズン終盤に打撃が上向き、プロ1年目は102試合に出場した。
今年は昨年同様、開幕からショートのレギュラーとして出場し続けている。中でも4月23日の巨人戦では0-0で迎えた7回表、二死満塁のチャンスでフェンスを直撃する走者一掃の適時三塁打を放った。この倉本の一打が決勝点となり、DeNAが3-0で勝利したのだ。また、倉本自身の打撃は好調で、4月19日の広島戦から24日の巨人戦にかけて5試合連続複数安打をマーク。打率を一気に3割まで乗せている。
持ち前の堅実な守備だけでなく、打撃力が備わりつつ倉本。「2年目のジンクス」があると言われているプロ2年目のシーズンを、飛躍の年とすべく奮闘し続けている。