カブスに負けじと好スタート
開幕から1カ月が経ったメジャーリーグ。ナショナル・リーグでは中地区所属のシカゴ・カブスが絶好調な立ち上がりを見せたが、アメリカンリーグの方でも同じシカゴを本拠地としているホワイトソックスが好調だ。
ア・リーグ中地区の首位を快走するチームは、2位のインディアンスに早くも5ゲームの差をつける。2008年の地区優勝を最後に7年もの間歓喜から遠ざかるチームが素晴らしいスタートを切った。
好調のチームを牽引するのが、安定感したはたらきを見せる先発4本柱。その4人のここまでの成績は以下の通り。
【ホワイトソックスの先発4本柱】
クリス・セール 7試(50回1/3) 7勝0敗 防1.79
ホセ・キンタナ 6試(38回2/3) 4勝1敗 防1.40
マット・レートス 6試(34回1/3) 5勝0敗 防2.62
カルロス・ロドン 6試(33回) 1勝4敗 防4.36
4人全員が30イニング以上を稼ぎ、きっちりと試合を作ることができている。特にエースのセールは開幕7戦7勝。イニング数は50を超え、それでいて防御率は1.79と抜群の安定感を誇っている。
さらにストッパーのデービッド・ロバートソンが12試合で9セーブ、防御率0.73という好成績を残し、マット・アルバーズや ネート・ジョーンズといった防御率0点台のリリーバーも控える。この盤石の投手陣が、チームの快進撃を支えている。
払拭したい“呪い”
そんなホワイトソックスといえば、ある「事件」が有名だ。いわゆる“ブラックソックス事件”。1919年、日本でいえば大正時代に起こった出来事である。
その年のワールドシリーズは、ホワイトソックスとシンシナティ・レッズの対戦だった。下馬評では、ホワイトソックスが圧倒的に有利。ところが、そのホワイトソックスは3勝5敗(※当時は9試合制)で敗退。この負けに対し、シカゴの地方紙が「八百長があった」と報じたことで、大問題へと発展する。
最終的には、ホワイトソックスの主力8選手が大金を受け取り、わざと試合に負けた、とされた。その中には、メジャー通算打率.356を誇ったスーパースター、ジョー・ジャクソンもいた。
結局この件により、ジャクソンを含む8名の選手が永久追放となる。彼らは「アンラッキー・エイト」と呼ばれ、悲運の8人として後世に語り継がれている。
ただし、「ジャクソンらが本当に八百長をしていたのか」という議論は今でも尽きない。
問題のシリーズで、ジャクソンは打率.375(32打数12安打)をマーク。失策もなく、チームでただ一人の本塁打も放っている。少年ファンから「ウソだと言ってよ、ジョー」と言われたという逸話も有名だ。
この事件の2年前、1917年に世界一に輝いたホワイトソックスだが、この事件の後は苦しい戦いが続いた。“悲劇”を経て、再び世界一になったのは2005年のこと。実に88年も要し、「ブラックソックスの呪い」とも言われた。
そんな2005年以来、11年ぶりの世界一を目指すホワイトソックス。戦力も十分に揃っており、その可能性は大いにある。チーム4度目の世界一で、「ブラッソックスの呪い」を完全に払拭することはできるか。
今年のメジャーはシカゴが熱い。ナ・リーグのカブスだけでなく、ア・リーグのホワイトソックスにも注目だ。