黄金時代の中日を支えたセットアッパー
開幕から好調の中日。3・4月の月間MVPを受賞したビシエドや、残念ながら現在は離脱中も打撃開花の予感漂う5年目・高橋周平など、打線に明るい話題も多い。
そして、投手陣も大野雄大や小熊凌祐、ネイラーといった先発陣に故障者を抱えているが、福谷浩司、田島慎二などのリリーフ陣が結果を残し、救援防御率はリーグトップの3.07。今以上に盤石のリリーフ陣を作る上で、ファンが最も待ち望んでいるのが、浅尾拓也の完全復帰であろう。
浅尾は、入団3年目の2009年に67試合に登板。33ホールドを挙げると、10年には72試合の登板で47ホールドの日本記録を樹立した。
翌11年も79試合に登板し、45ホールド。この年のリーグ最多登板と最多ホールド投手に輝いた。浅尾にとって記録づくしのこの2年は、チームもリーグ連覇を成し遂げている。
04年から11年に渡った8年間という落合監督時代は、優勝4回、2位3回、3位1回というまさに黄金時代。浅尾もストッパーの岩瀬仁紀と共に、チームに欠かせない存在だった。
近年は故障で苦しいシーズンが続く…
しかし、12年になるとこれまでから状況が一変。登板過多によるものか、突然の不調や球速低下に陥り、最速157キロの直球は鳴りを潜めた。登板数も29と激減し、ホールド数も15。以降、30試合前後の登板に留まっている。
16年シーズンも、右肩の不安から開幕を二軍で迎え、現在も調整を続けている。5月11日現在、2試合に登板して、防御率は9.00。一軍復帰に向けてもう少し時間がかかりそうだが、浅尾の一軍昇格を待ち望むファンは多い。
3年連続Bクラスに沈んでいる中日にとって、順調なスタートが切れた今シーズンは、リーグ制覇の大きなチャンスである。今年の10月で32歳を迎える浅尾。まだまだ若手や後輩に経験を伝える年齢ではない。まだまだ一軍マウンド、そして背中で伝えることがある…。ファンはその日を待ちわびている。