苦境に立たされた横浜高OBのベテラン
近年、プロ野球界では、大阪桐蔭高校出身選手の活躍が目覚ましい。意外にも、甲子園初出場は、平成3年の春。平成に入ってから急激に力を伸ばした大阪桐蔭は、春8回、夏8回と、瞬く間に甲子園常連校の仲間入りを果たした。そして、大阪桐蔭がプロの世界へ送り込んだ選手の数は29名。
現役で活躍する出身選手を並べても、藤浪晋太郎(阪神)、岩田稔(阪神)、森友哉(西武)、中田翔(日本ハム)、浅村栄斗(西武)、中村剛也(西武)、西岡剛(阪神)、平田良介(中日)など、日本野球界を代表する選手がずらりと並ぶ。西日本随一の強豪校の勢いは、今まさにプロ野球界でも留まることを知らない。
「西の雄」が大阪桐蔭なら、東の雄は横浜高校ではないだろうか。大阪桐蔭が藤浪、森のバッテリーで12年に春夏連覇を果たした14年前、横浜高校も松坂大輔を擁し、98年に甲子園春夏連覇を達成している。
かつては、横浜高校のOB松坂が、高卒1年目から史上初となる3年連続二ケタ勝利を挙げ、以降も西武での8年間で7度の二ケタ勝利を挙げる圧巻の活躍を見せていた。しかし松坂は昨季、日本球界に復帰するも、故障の影響もあり、未だに一軍での登板がない。
また、打者では横浜高校で松坂の4つ上の先輩多村仁志が、個人タイトルこそ獲得していないものの、右の大砲として04年には、40本塁打を放つなど、球界を盛り上げた。多村も移籍したソフトバンクから13年にDeNAに復帰をしたが、3年間で目立った成績を残すことができず、15年に戦力外通告を受け、現在は中日の育成選手として支配下登録を目指している。
横浜高校出身の若手が存在感
昨今プロ野球界で、勢いを失いつつあった横浜出身の若手選手たちの活躍が目立つ。
涌井秀章は、西武からロッテに移籍して2年目の昨季、15勝(9敗)で最多勝のタイトルを獲得した。西武での晩年は、不調から、ストッパーへの配置転換も経験。先発復帰後も二ケタ勝利からは見放されていたために、横浜高校OBとしては、明るすぎるニュースだったであろう。今シーズンも、リーグ4位タイの5勝、防御率2.95と安定した内容で好調なチームを支えている。
そして横浜高校OBの最も活躍が目立っているのが、地元でプレーするDeNAの選手たちだ。
筒香嘉智は、昨シーズン打撃3部門全てでキャリアハイを記録し、初のベストナインにも選出されると、侍ジャパンの4番を任され、球界を代表する強打者へ成長した。今年は、4月には故障により登録抹消となった時期もあったが、現在は一軍復帰。11本塁打を記録し、不動の4番として活躍する。
そして成長著しいのが2年目の倉本寿彦と5年目の乙坂智。倉本は現在打率.312と、チームトップの成績を残しており、正遊撃手の座を掴んでいる。乙坂は規定打席未到達ながら、29試合に出場し、打率.290と好調で、レギュラーを掴みかけている。
近年元気のなかった横浜高校OBに吹き始めた若い風が、苦境に立たされる先輩OBにも火をつけるかもしれない。いずれにしても、今年は横浜高校OBが、球界を熱くしてくれそうだ。