いつかは見たい“夢のキューバ代表”
“ドリームチーム”は実現するのか――。
いよいよ来春に迫ってきたワールド・ベースボール・クラシックの第4回大会。そこで是非とも見てみたいのが、キューバの“フル代表”だ。
多くのキューバ人選手は、メジャーリーグでのプレー環境を求めてアメリカへと亡命をする。その実力はメジャーの大舞台でも折り紙付きで、今では多くの「キューバ出身」選手たちが活躍を見せている。
しかし、亡命してしまった選手が再び国の代表に招集されるというケースはない。メジャーで活躍するだけの実力を持つ選手たちを、そのまま国外へと“流出”させることになってしまうのだ。
日本でお馴染みのあの選手も亡命
後を絶たないキューバからアメリカへの人材流出。いま現在も、フリーエージェントの状態で注目を浴びているキューバ出身選手がいる。そう、日本のファンにもお馴染みのユリエスキ・グリエルだ。
今年の2月にキューバから亡命し、すでにどの球団とも自由に契約ができるフリーエージェント(FA)選手としてMLB機構に認められている。いまだどのチームとも契約には至っていないが、「キューバの至宝」と呼ばれた男もキューバから離れることになってしまった。
このグリエルの亡命により、前回までのWBCで国を背負って活躍していた選手のほとんどが、キューバ伝統の赤いユニフォームを脱ぐことになってしまった。
その一方、キューバから亡命をした後メジャーで活躍している選手たちの顔ぶれを見てみると、実に豪華である。次のWBCまで1年を切った今、「この面々で代表を組んでみたらどんなチームになるのだろう...」と心が躍る。
メジャーの舞台で活躍するキューバ出身選手たち
投手では、現在ヤンキースで守護神として活躍するアロルディス・チャップマンが最も有名だろう。
2009年に亡命した左腕は、最速169キロの速球を武器に2012年から4年連続で30セーブ以上を記録。アメリカでも屈指のストッパーとして熱視線を浴びている。
野手では、2011年に亡命したヨニエス・セスペデスが絶好調だ。
2013年~2014年にかけてオールスターゲームのホームランダービーを連覇。メジャーに在籍した5年間すべてで20本塁打以上を放ち、昨年はキャリアハイの35本塁打を記録した。また、打力だけでなく、強肩を生かした守備も高い評価を受けており、メッツを牽引している。
他にもホセ・アブレイユ(ホワイトソックス)や、ヤシエル・プイグ(ドジャース)といった豪華選手が揃う顔ぶれに、キューバ国内リーグ14年間の通算打率が.333を誇り、アテネ五輪・金メダル、北京五輪・銀メダルに大きく貢献したグリエルが加わるとなれば、まさに“ドリームチーム”となる。
近い将来、実現する日が来る...?
ただし、残念ながら彼らが揃って代表のユニフォームを着ることはまずないと見ていい。ちゃんと言うと、「キューバ国内でよほど大規模な政治事情の変化が起こらない限り」はないであろう。
言い直したのは、そういった「大規模な変化」が起こる可能性も見え始めているため。キューバ政府側も、後を絶たない亡命選手たちをただただ指をくわえて見ているだけではない。
ここに来て、一般的なルートでメジャーをはじめとする国外リーグへの挑戦が可能になるような動きが加速するなど、国側に対策を取ろうとする姿勢が見え始めているのも事実。「来年すぐに」とはいかなくても、外へ出て行ったキューバ出身の選手たちが母国のユニフォームを着て国際大会を戦うということも、あり得ない話ではなくなってきているのだ。
メジャーの舞台で大暴れする選手たちが、キューバ代表として日本やアメリカに立ちはだかる……。想像するだけでもワクワクするし、大会自体もこれまで以上に盛り上がることだろう。
近い将来、“ドリームチーム”が見られることに期待を寄せながら、各国で戦う「キューバ出身選手たち」を注目して見ていきたい。