覚醒した城所の影で…
約3週間にわたって行われたセ・パ交流戦も、あっという間に全日程を終了。6月22日には表彰選手も発表された。
MVPはソフトバンクの城所が獲得した。プロ13年目を迎えた守備のスペシャリストが、“まさか”の打率.415、5本塁打の大暴れ。その開眼ぶりはチームの首位独走とともに話題となっている。
そんな男の影に隠れる形となったが、この交流戦を有意義に過ごした男がもう一人いる。交流戦の打撃成績で城所に次ぐ2位の数字を残した、西武の森友哉だ。
言わずと知れた2013年のドラ1捕手。大阪桐蔭高では、藤浪晋太郎(阪神)とバッテリーを組んだ2年時に甲子園で春夏連覇を達成。自身も甲子園通算5本塁打を放ち、打率は.473を記録した。
プロ入り後もルーキーイヤーにいきなり6本塁打を放って見せると、2年目となる昨シーズンは指名打者のレギュラーとして138試合に出場。打率.287、17本塁打、68打点と大きく飛躍を遂げる。
チームの意向もあり、本来のポジションである「捕手」としての出場はほとんどない状態ではあるが、高卒から間もない選手としては十分すぎる活躍といえるだろう。
3年目でぶち当たった壁
しかし、怖いものなしで突き進んできた男は壁にぶつかる。
自身の不調に加え、オープン戦で坂田遼が猛アピールした影響もあり、開幕戦でスタメン落ち。開幕5戦目となる3月30日のソフトバンク戦で初のスタメン出場を果たし、その試合では3安打猛打賞と活躍を見せたが、その後10試合で6安打と不振に苦しんだ。
4月13日のソフトバンク戦を最後に再び代打での起用がメインになると、そこでも結果を残すことは出来ず。4月23日、ついに一軍登録を抹消されてしまう。
森にとって久々となる二軍生活はそこから1カ月以上も続いたが、その間ファームでは26試合で6本塁打と本来の長打力を取り戻し、打率も3割台に乗せるなど、二軍では格の違いを見せた。
逆襲の起爆剤になる!
そして迎えた5月31日。交流戦の開幕戦となるDeNA戦。森は満を持して一軍に復帰する。
そこからの交流戦は全18試合に出場(※うちスタメンは15試合)し、開幕からの不振が嘘だったような大活躍。以下は交流戦前と交流戦期間の成績の比較である。
▼ 交流戦前まで
16試 率.209(43-9) 本1 点5
四球5 死球0 三振17 出塁率.292 長打率.279 OPS.571
▼ 交流戦期間
18試 率.382(55-21) 本1 点5
四球8 死球0 三振9 出塁率.460 長打率.509 OPS.969
同じくらいの試合数なだけに、その差は一目瞭然。本塁打数など、まだ物足りない部分はあるが、完全に調子を取り戻したと言って良いのではないだろうか。
6月16日の広島戦から19日のヤクルト戦まで、交流戦を4試合連続安打締め。最終戦のヤクルト戦では二塁打2本含む5打数3安打、3打点の大暴れで再開するリーグ戦へと弾みをつけている。森の打棒が戻ったとなれば、主砲・中村剛也を欠くチームにとって心強い事この上ない。
怖いものなしで突き進んできた男は3年目で壁にぶつかり、そしてそれを実力で乗り越えた。挫折を経てひと回り大きくなった20歳が、逆襲を期すレオ軍団の起爆剤になる。