激戦区・静岡に注目
今年も高校野球の季節がやってくる。
今夏の甲子園大会に出場するチームを決める地方大会。各地でその組み合わせが続々と決まり始めている。
大舞台への挑戦権は、トーナメントを勝ち抜いた1チームだけ…。甲子園行きの切符をかけ、今年も各地で熱戦が繰り広げられる。そして勝ち上がった49の代表が、深紅の優勝旗を目指してしのぎを削る。
さて、今回取り上げるのは静岡県大会。この地区は今年、例年にないほどハイレベルな戦いになると予想されている。
6月25日に抽選会が行われ、組み合わせが決まった。参加112校の中、シードに入ったのは8校。静岡、日大三島、三島南、掛川西、東海大静岡翔洋、浜松修学舎、静清、常葉橘。ここ5年間で3度も夏を制した静岡や、今春の東海大会で優勝した常葉橘などが優勝の有力候補になるだろう。
本命・静岡高のプロ注目選手
この静岡には、プロ注目の選手もたくさんいる。ダイヤの原石を探すべく、毎週のように各球団のスカウトたちが集結するというから、予選から注目は必至だ。
特に静岡高は要注目。まずはエースの村木文哉から紹介しよう。
最速146キロ右腕で、スライダー、カーブ、フォークを投げ分ける。1年秋からエースに君臨し、東海大会優勝も果たしたチームの大黒柱だ。
「最速146キロ」と書いたが、実際のところは「150は出ている」話すスカウトもいるという。184センチ、80キロと体格も良く、腕をしならせて投げるボールは打者の手元で伸びて打ちにくい。
今春は腰痛に悩まされて登板を回避したが、夏に合わせて復帰。県大会での復活登板が楽しみだ。
そしてもう一人、同校の“プロ注”が鈴木将兵だ。
昨年は2年生ながらトップバッターを任され、快音を連発。50メートル5.8秒という俊足が魅力で、塁に出るとうるさい。甲子園もすでに3度経験しているというのも大きい。静岡の本命と目される静岡高では、特にこの2人に注目していただきたい。
140キロ超投手があちこちに!?
静清高にも、プロ注目の投手がいる。最速148キロという速球が自慢の横尾蓮太。全国でも屈指の速球派だ。
常葉橘の谷脇亮介も最速144キロの真っすぐが武器で、日大三島の中川真杉も、しなやかな腕の振りから最速143キロの速球をさく裂させる。
その他にも掛川西の川合隼人も140キロの速球を持ち味としており、藤枝明誠の伊藤翼咲はMAX142キロの速球に高校通算32本塁打の打撃センスを兼ね備える。188センチという長身も大きなウリのひとつで、ノーシード校ながら注目を浴びている。
このように、いたるところに140キロ超の投手が揃う群雄割拠の静岡県。ある静岡高OBは、こんな風にぼやいていた。
「組み合わせは抽選は不運だ。初戦から藤枝明誠とあたる可能性があるからね。逆のヤマだったら、よかったのに…」。実力のある選手が、こうも分散するのも珍しい。
静岡と聞くとどうしても「サッカー王国」というイメージも強いが、いやいや野球も激戦区。注目の静岡大会は7月9日(土)に開幕し、決勝戦は26日(火)に開催予定。甲子園行きをかけた熱き戦いが、いよいよ幕を開ける。