兵庫162校の頂点に立つのは...
各地で甲子園へ向けた熱い戦いがはじまった。
きょうは兵庫県に注目。162校の頂点に立つのはどこか……。7月9日に開幕した県大会は、7月28日に決勝戦を迎える。
シード校は16チームで、優勝候補筆頭は神戸国際大付。次いで今春のセンバツでベスト8まで進んだ明石商、今春の県大会準優勝の報徳学園と言った具合に強豪校がひしめく。
兵庫のトレンドは“2枚看板”
優勝候補筆頭に挙げた神戸国際大付は、2人のプロ注目投手がチームを引っ張る。
一人は、東郷太亮。高校2年時の春ですでに143キロの速球を投げていた男は、常時130キロ後半のストレートが投げられるようになったことに加え、キレ味鋭いスライダーは打者にとって厄介。182センチの長身で、しかもサウスポー。早くから注目を集めている。
もう一人が平内龍太。こちらはMAX145キロを誇る速球派右腕で、空振りを奪う鋭いスライダーも魅力十分。ただし制球に課題を抱え、押し出しの四球を連発した試合もあった。それでも、強力な“左右の両輪”を擁する神戸国際大付は、もっとも甲子園に近いだろう。
センバツ8強の明石商も負けてはいない。2人の右腕が準備万端、最後の夏を狙っている。
まずは、センバツを一人で投げ抜いたエースの吉高壮。最速145キロの速球に磨きをかけ、夏に向けて調子を上げてきた。
一方、今春の県大会でブレイクしたのが山崎伊織。なんとMAX148キロを記録し、優勝に貢献した。この山崎は東海大への進学が濃厚だといわれているが、とある在阪のスカウトが何度も視察に訪れており、急転ドラフト指名ということも考えられる。
さらに、今春の県大会準優勝の報徳学園には、最速146キロ右腕の中本光紀に、左腕の主島大虎という2枚看板が揃う。久々の夏甲子園へ、この2人にも注目度が高まっている。
また、14日の試合で報徳学園に敗れてしまった須磨翔風にも、プロから熱視線を浴びた投手がいた。最速146キロを誇る才木浩人は、高校2年時から複数のスカウトから注目されるほどの逸材。ノーシードからの挑戦は、2回戦で幕を閉じた。
7度の夏優勝を誇る兵庫県の名選手
兵庫県の高校野球といえば、オールドファンにはたまらない選手がいた。東洋大姫路のエースだった、松本正志だ。
1977年夏の甲子園、東洋大姫路は決勝で東邦(愛知)を破り、初優勝を成し遂げた。決勝は投手戦となり、松本と東邦の“バンビ”こと坂本の投げ合いに。最後は東洋大姫路がサヨナラ勝ちを収めたこの試合は、高校野球球史に残る名勝負として今でも語り継がれている。
兵庫県勢は、夏の甲子園で7度の優勝がある。1952年に優勝したのは芦屋高校。当時のエースが、毎日(現ロッテ)で活躍した植村義信で、プロ9年間通算で74勝69敗、防御率2.69をマークした。1956年にはシーズン19勝を挙げるなど活躍し、引退後は日本ハムの監督も務めている。
また、報徳学園も1981年に優勝した。このときエースで4番だったのが、のちに近鉄や中日で活躍した金村義明である。全試合を一人で投げ抜き、大会通算で2本塁打。攻守で初優勝に貢献した。
今夏の兵庫県は、どんな選手が出現するのか。過去の名選手を凌駕するような名選手の登場に期待したい。