ニュース 2016.07.16. 09:00

社会人野球の晴れ舞台!「第87回都市対抗野球」が開幕

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前年王者・日本生命が開幕戦で敗れる波乱の幕開けに(C)KYODO NEWS IMAGES

波乱の幕開け!


 社会人日本一を決める戦い「第87回都市対抗野球大会」が、7月15日に開幕した。

 全国各地で行われた予選を勝ち抜いた全32チームが東京ドームに集い、12日間に渡って熱戦が繰り広げられる。

 15日に行われた開幕戦では、前回大会の王者であり、今大会の出場チームで最多となる58回目の都市対抗出場を果たした日本生命(大阪市)が登場。ところが、横浜市の三菱日立パワーシステムズ横浜に0-4で敗れ、ディフェンディング・チャンピオンが初戦で散るという波乱の幕開けとなった。


都市対抗ならでは!「補強選手」という制度

 
 この都市対抗野球という大会で特徴的なルールといえば、「補強選手」という制度だろう。

 本戦に出場するチームは、「同じ地区で予選を戦った他チームから3名まで選手を補強しても良い」というのがこのシステム。まさに“昨日の敵は今日の友”というものだ。

 社会人野球に馴染みのないファンは驚くかもしれないが、文字通り“都市”を“対抗”して戦う大会であるから、その地区の優秀な選手を連れて行って他の都市と戦う、という意味ではある種自然な流れだと言える。

 プロを目指す選手たちにとってみれば、これほど美味しい話はない。たとえ所属チームが敗れたとしても、本戦に出場できる可能性が残るからだ。プロのスカウトの目に留まるチャンスは増える。

 ただし、その間は所属企業で勤務することができなくなるから、企業の立場からすると難しい制度だとも言えるだろう。

 
 今大会の補強選手も発表になったが、いずれもプロ注目の逸材ばかりだ。

 これまでの大会もそうだったが、この「補強選手」の活躍が大きなカギを握る。というより、本戦を勝ち抜けるかどうかの分かれ目になる、と言っても過言ではないかもしれない。

 昨年優勝した日本生命を見てみると、都市対抗への出場は「近畿第4代表」としてのもの。つまり、近畿地区の1位ではなかったのだ。

 それが藤井聖太、松元裕章、福原健太(いずれもパナソニック)という3人が補強選手として加わると、あれよあれよと勝ち抜いて、最終的には優勝を掴んだ。

 各チームの「補強選手」に注目して見るというのも、都市対抗を楽しむひとつのポイントになる。


「橋戸賞」、「久慈賞」...独自の表彰制度


 また、独特の「表彰制度」も都市対抗ならではだ。

 大会の最優秀選手(=MVP)にあたるのが「橋戸賞」。優勝チームから1名選出される。「久慈賞」とは、いわゆる敢闘賞にあたり、準優勝チームから1人が選ばれる。そして「新人賞」は若獅子賞。このように、それぞれに特徴的な名前がついている。

 「橋戸賞」は、都市対抗という大会を創設した橋戸信の名をとったもの。橋戸が逝去した後、1936年の第10回大会からこの名前で最も活躍した選手を表彰している。

 「久慈賞」は、久慈次郎という人物が由来。函館太洋倶楽部で活躍した名捕手であるが、試合中の事故により死去。全日本でも活躍した久慈の功績を称え、敢闘精神あふれる選手に贈る賞として1947年の第18回大会より設けられた。

 さらに「小野賞」なる特別賞もあり、大会ですばらしい活躍をした選手、監督、チームに対して贈られる。これは都市対抗野球の発展に寄与した小野三千麿からきたものだ。


 今年も始まった真夏の社会人野球日本一決定戦――。初出場はきらやか銀行(山形市)だけと、“フレッシュ”よりも古豪復活の感が漂う大会となっているが、最後まで勝ち抜くのは一体どのチームか。今から目が離せない。
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