7月は三冠王
広島の新井貴浩が18日の中日戦(マツダスタジアム)で、サヨナラ本塁打を放った。
2-2の9回一死走者なしで迎えた第4打席。中日の2番手・祖父江大輔が投じたストレートを振り抜くと、打球は真っ赤に染まったカープファンが待つライトスタンドに着弾。阪神時代の08年4月30日のヤクルト戦以来となる自身3本目のサヨナラ本塁打で、試合に終止符を打った。
7月に入ってからの新井は、打率.529、6本塁打、17打点と打撃三部門で、リーグトップの成績を残す。今月の新井は“神っている”。
中でも今月、突出しているのが本塁打の数だ。05年に本塁打王を獲得したことのあるスラッガーだが、広島に復帰した昨季が7本、阪神時代の14年が3本と二ケタに届かず、ここ数年、持ち前の長打力が影を潜めていた。今年も6月が終了した時点の本塁打数は5本と寂しい数だったが、今月はすでに6月までの本塁打数を上回る6本のアーチを描く。
打球方向を見ると、6月までに放った5本塁打中、4本がレフト方向に放ったもの。引っ張りの本塁打が多い傾向だったが、7月は6本中、4本がライトと逆方向への本塁打が増えた。ちなみに阪神時代の13年5月7日の巨人戦以来3年ぶりに、1試合2本のアーチを描いた7月12日の巨人戦も、2本ともライトスタンドに打ったものだった。
かつては勝負弱かったが…
今月リーグトップの17打点を挙げる新井は、得点圏での勝負強さも光る。これまでの新井といえば、勝負弱くダブルプレーでチャンスを潰すイメージが強かったが、今年は違う。7月の得点圏打率は.600(10-6)をマークし、シーズンを通してもリーグトップの.388を記録する。チャンスに強く、とても頼りになる選手なのだ。
それを象徴した試合が、7月12日の巨人戦。同点で迎えた3回一死一、二塁の第2打席、レフトへ勝ち越しのタイムリーヒットを放つと、5回の第4打席では二死一、三塁からレフトへタイムリー二塁打。2度回ってきた得点圏の場面で、いずれも結果を残して見せた。この日は第1打席と第3打席に、本塁打を放っており、新井の活躍が目立つ1日となった。
25年ぶりのリーグ優勝に向けて、新井のバットから今後も目が離せない。