好調打線は6人に3割超の可能性!?
連日の劇的勝利により、混戦セ・リーグを抜け出しそうな勢いの広島。これまで苦手としていた交流戦でも投打ががっちりかみ合い、11勝6敗1分と大きく勝ち越した。
週末のオリックス戦では、鈴木誠也が2本のサヨナラ弾を含む「3試合連続勝ち越し本塁打」を記録。規定打席にも到達し、現在セ・リーグの打率部門で4位(.315)につけている。
さらに、チームメートのエルドレッドが3位(.319)、菊池涼介が6位(.304)とチーム内に3割打者が3人もいる。昨季はチームトップが新井貴浩の11位(.275)で、3割打者が一人もいなかったことを考えると、今季の赤ヘル打線がいかに好調かわかるだろう。
さらに3人以外にも、13位には田中広輔(.292)、14位には丸佳浩(.292)、そして16位に新井(.290)と、規定に到達している他の3人も打率3割をうかがえる状況にある。最大6人に打率3割到達の可能性があるのだ。
6人の3割・4人の100打点でリーグを席巻した03年のダイエー
もしも同一チームから6人の3割打者が誕生したら……いつ以来のことになるのだろうか。
実は、13年前の03年にダイエー(現ソフトバンク)がその快挙を達成している。
年間チーム打率.297の日本記録を作り、「ダイハード打線」なる異名も取ったその年のダイエー打線は、井口資仁(現ロッテ/.340)に柴原洋(.333)、城島健司(.3303)、村松有人(.3239)、松中信彦(.3238)、バルデス(.311)の6人が打率3割超え。川崎宗則も.294をマークしており、もう少しで7人が3割超という異常事態だった。
さらに井口、城島、松中、バルデスの4人は100打点以上をマークし、「100打点カルテット」を形成。打率だけでなく長打力も兼ね備えていたのだ。
赤ヘル打線が導く25年ぶりの悲願…
今季のカープ打線は、2003年のホークスと比べると破壊力という点ではやや見劣るが、当時はプロ野球全体が“打高投低”の時代でもあった。
当時の12球団のチーム打率を見てみると、ダイエーの.297を筆頭に2割8分台が2チーム、2割7分台が4チーム、2割6分台が3チーム、2割5分台が2チームとなっており、半数以上の7チームが2割7分を上回っていた。
今季はというと、2割6分台が5チーム、2割5分台が2チーム、2割4分台が5チーム。全12チームが2割7分を下回っている。
13年前と比べると、今の球界が投手優位であることは明白。当時と今の投打レベルを“補正”すれば、決して当時のホークス打線にひけを取らないのではないだろうか。
交流戦で失速した他のセ・リーグ5球団を尻目に、独走状態へと入りつつある広島。好調な“赤ヘル打線”から最終的には何人の3割打者が誕生するのか。その人数が多ければ多いほど、“優勝”の2文字が近づくことは間違いない。
文=八木遊(やぎ・ゆう)