藤浪の復活がカギ
首位広島の勢いが止まらず、セ・リーグは1強5弱の構図となっている。そんな中、2013年から3年連続Aクラスをキープしている阪神は、オールスター前に自力優勝が消滅するというなんともさみしい展開となっている。
後半戦、クライマックスシリーズ出場に必要となる順位まで上がっていくためのポイントとなるのは、藤浪晋太郎の復活と打線のてこ入れだろう。
藤浪は2013年入団以来3年連続で二ケタ勝利を挙げている。今年も10勝をマークすると、4年連続二ケタ勝利となるが、高卒1年目からの4年連続二桁勝利は、あの松坂大輔でさえ達成していない記録だ。当時西武の松坂は、ルーキーイヤーの1999年から16勝、14勝、15勝と3年連続で二ケタ勝利を挙げ、期待通りの怪物ぶりを発揮していた。
しかし、4年目の2002年には開幕から6連勝と絶好調のスタートを切った後、右ひじを痛め長期離脱、完全復活することのないまま、6勝でシーズンを終えた。藤浪が今年二ケタ勝利に達すると、実に江夏豊以来46年ぶりの快挙となる。
今季の藤浪はピリッとしない。7月22日の広島戦では、6回4失点で敗戦投手となり、6敗目を喫した。これで藤浪は、6月2日の楽天戦で白星を挙げたのを最後に、自身4連敗中だ。
試合立ち上がりでの失点が目立ち、波に乗れないまま敗戦投手となる場面が何度も見られる。前半戦最後の先発登板となった7月8日の広島戦でも、四球がらみで1回に3失点を喫し、金本監督から161球の懲罰続投を命じられたことで話題となった。
上記の通り藤浪は、16試合に登板して、4勝6敗、防御率3.52といまひとつ。チームが波に乗れない中、エースの藤浪に一日も早く、本来の調子を取り戻してほしいところだ。
主力は不振も…
もう一つ阪神が後半戦、浮上のために必須なのが、打撃力の底上げだ。現在、規定打席到達者で打率3割を超えているのは、リーグ6位の打率.314を記録する福留孝介ただ一人。阪神で福留に次ぐ打率をマークするのが、開幕直後、好調だったルーキー・高山俊の打率.277。主力のゴメスと鳥谷敬は、ゴメスが打率.249、鳥谷が打率.231とかなり寂しい数字だ。
金本監督が軸として期待したゴメス、鳥谷の不振が響き、チーム打撃成績もリーグ断トツの最下位となっている。それでも、原口文仁と中谷将大の2人は、チームに明るい光を照らしている。シーズン途中から出場が増えたため、規定打席には達していないが、2人とも打率3割を超えるアベレージを残す。
今シーズン開幕後の4月27日に育成契約から支配下登録へ復帰した原口は、復帰後すぐにスタメンマスクを任されると、5月には打率.380で月間MVPを獲得する活躍を見せた。勢いは落ち着いたものの、現在も打率3割をキープしている。
そして原口のブレークから遅れること1カ月半。一軍昇格を果たした中谷も、最初の2週間で打率4割をたたき出す打撃力を見せた。一軍経験はまだまだ足りないが、昨年ファームで優秀賞を獲得するなど、ここ数年で着実に実績を残してきている。個人的にも、ライバルの多い外野のポジションを奪うためにさらに上を目指す必要があるだろう。
前半戦打撃不振で苦しんだゴメス・鳥谷の復調に加え、原口、中谷といった若虎の活躍と、投手ではエース藤浪の復活が阪神浮上のカギとなる。