今年は“ストッパー受難”の年?
いよいよ勝負の8月戦線に入ったプロ野球。ここからシーズン佳境へ向けて苦しくなってくる時期であるが、今季は「抑え投手の苦労」が目立つ。
例えば、パ・リーグでCS圏内の3位につけているロッテ。開幕前の下馬評を考えると健闘が光っているが、ここに来て守護神・西野勇士が右肘痛で離脱。現在は益田直也が勝ち試合の最後を任されている。
育成から這い上がり、今や侍ジャパンに選出されるほどのストッパーに成長した西野であるが、今季は40試合で3勝6敗21セーブ、防御率は3.51。抑えに定着したここ2年、50試合以上に登板して防御率は1点台と安定した投球が光っていただけに、今年の内容はやや不安が残る。
パ・リーグ2位の日本ハムもそうだ。昨季リーグ2位の39セーブをマークした増井浩俊が開幕から絶不調。5月の頭に登録を抹消され、その後一度は一軍復帰を果たすも、またすぐに二軍降格となった。
それでも、当初はセットアッパーを務めていた助っ人のマーティンが、増井の穴を見事に埋めた。ここまで42試合の登板で、防御率は1.36。7月は月間最多の8セーブを記録するなど、ここまで15セーブを記録し、快進撃を続ける日本ハムの最後の砦として君臨している。
まさかの退団劇も...
セ・リーグでは、予期せぬ事態によって抑えを変更せざるを得なかったチームがある。昨年の王者・ヤクルトだ。
昨季最多セーブのタイトルを獲得し、チームを支えた守護神・バーネットがアメリカに帰国。代わって抑えを務めたのが、昨年はセットアッパーが主な役割だったオンドルセクだった。
2年目の助っ人は開幕から16試合連続で無失点投球を続けるなど、安定した投球を披露。ところが、ある“事件”によって状況は一変する。
6月26日の中日戦、4-1と3点リードの9回に登板するも、味方のミス絡みで崩れて3失点。試合を締めることができなかった。すると、ベンチに戻ったオンドルセクが激昂。ベンチで怒鳴り散らすなどし、監督・コーチに不満をぶちまける素振りを見せた。
そんな振る舞いを問題視した球団は、謹慎処分を命じ登録を抹消。その後は謝罪も行い、和解に向かって歩み始めたと思った矢先、家庭の事情から一時帰国すると、7月21日に突然の退団発表。日本に戻ってくることはなく、現在はメジャーリーグのオリオールズでプレーしている。
オンドルセクが離脱した後の抑えは、デビューから2年連続で60試合以上に登板中という鉄腕・秋吉亮が務めている。
逆に抑えがいるチームは強い...?
ここまで抑えで苦しむチームを紹介した一方で、開幕から抑えをガッチリと固定ができている球団もある。両リーグで首位を走る、ソフトバンクと広島がそうだ。
日本一連覇中のソフトバンクは今年もサファテが絶対的な守護神として君臨。今季はここまででリーグ最多の32セーブを記録している。このペースでセーブを積み重ねていけば、シーズン最多記録となる46セーブ超えも十分に期待ができそうだ。
広島の中崎翔太も、春先こそ不安定な投球を見せたことがあったが、今では立派に守護神として存在感を発揮。6月14日の西武戦で失点したのを最後に、現在12試合連続で無失点投球を続けている。
広島を追う2位・巨人の沢村拓一も含め、やはり最終回を締める男がいるというのは大きな強み。ここからはじまる厳しい戦いに向けて、彼らの存在はチームに安心感をもたらす。
残すところ50試合程度となったプロ野球。終盤戦はチームを支えるストッパーたちの奮闘に注目だ。
各球団のストッパー成績
【パ・リーグ】
デニス・サファテ(ソフトバンク)
→ 46試 0勝5敗32セーブ 防1.60
クリス・マーティン(日本ハム)
→ 42試 2勝0敗15セーブ 防1.36
益田直也(ロッテ)
→ 47試 3勝1敗5セーブ 防1.37
松井裕樹(楽天)
→ 40試 1勝3敗19セーブ 防4.14
増田達至(西武)
→ 34試 3勝5敗16セーブ 防2.16
平野佳寿(オリックス)
→ 38試 3勝4敗19セーブ 防2.08
【セ・リーグ】
中崎翔太(広島)
→ 41試 2勝3敗19セーブ 防1.50
沢村拓一(巨人)
→ 40試 3勝1敗25セーブ 防1.32
山崎康晃(DeNA)
→ 39試 2勝3敗24セーブ 防2.58
マテオ(阪神)
→ 38試 1勝2敗11セーブ 防2.18
田島慎二(中日)
→ 41試 3勝1敗7セーブ 防0.65
秋吉亮(ヤクルト)
→ 52試 3勝4敗8セーブ 防2.10