まさかの退任発表も...
静岡大会をノーシードから勝ち上がり、3年ぶり5度目の甲子園出場を決めた常葉菊川。ところが、甲子園が決まった直後のチームに激震が走る。
チームを指揮してきた森下知幸監督が、このタイミングで退任する意向を表明したのだ。「今春には決めていた」と語る指揮官。理由としては御殿場の近くに実家があるため、県東の高校への赴任希望をかねてから持っており、この夏の大会をもって常葉菊川を離れることを決めていたという。
県大会の前から話は進んでおり、学校側も8月1日付けで御殿場西高校への赴任を認めていたというが、高校野球連盟はこの退任を認めなかった。なぜなら、常葉菊川の夏が終わらなかったためだ。
大会の一連の流れとして、特別な理由がない限り変更は了承できないというのが高野連側の見解。これにより、退任から一転して甲子園でも指揮を執ることが決まった。
“騒動”をキッカケに一丸となるか
ノーシードからの挑戦となるも、常葉菊川の県大会の戦いぶりは見事なものだった。決勝戦の結果は以下の通り。
【静岡大会・決勝】
袋 井|000 000 000|0
常葉菊川|402 200 31X|12
投げてはエースの落合竜杜が完封勝利。打ってはプロ注目の1番・栗原健が高校通算48本目の本塁打を放つなど、投打でレベルの違いを見せつけた。
県大会の足取りを見てみると、
・1回戦 vs.磐田北 10-0
・2回戦 vs.掛川工 8-4
・3回戦 vs.浜松修学舎 12-2
・4回戦 vs.浜松西 14-0
・準々決 vs.東海大静岡翔洋 5-2
・準決勝 vs.常葉橘 12-0
・決 勝 vs.袋井 12-0
このように7試合とも危なげない勝ち方。7試合合計で73得点という圧倒的な破壊力を武器に、静岡を制圧した。
準決勝では、春の県大会で敗れた常葉橘にリベンジを達成。シードが取れなかった悔しさをバネに成長を遂げ、見事に静岡の頂点に立った。
大会前に“ひと騒動”があったものの、今は「一生懸命やるだけ」とチームは前を向く。全国の強豪と渡り合えるだけのポテンシャルはあるだけに、今回の一件でチームのまとまりがより一層強くなったとしたら、頂点へと登りつめる可能性も大いにある。
森下監督率いる常葉菊川に注目だ。