順調なスタートを切るも…
オリックスのドラフト1位ルーキー吉田正尚が8月27日の楽天戦で2打席連続ホームランを記録するなど、8月12日に再昇格してから15試合に出場して、打率.404(52-21)、4本塁打、10打点と好調だ。
今季のここまでを振り返ると、開幕で1番DHスタメンデビューを飾り、そこから6試合連続安打を記録。以降も全試合でスタメン出場を続け、順調なプロ生活をスタートさせた吉田だが、4月23日ロッテ戦で腰痛を理由に途中交代を余儀なくされる。翌日には登録抹消となり、その後、腰椎椎間板症と診断された。当初は10日ほどで復帰できると発表されていたが、結局一軍復帰まで3カ月以上を要した。
開幕当初は新人王の有力候補と期待されていただけに、この長期離脱は、本人にとってもチームにとっても大きな誤算となってしまった。
開幕前にも故障離脱
吉田正にとって、故障離脱はプロになってから2度目のこと。開幕一軍入りを目指していた今年の春季キャンプ中に、左ふくらはぎ痛と右わき腹痛による離脱を経験している。
このときは、開幕戦が6日後に迫った3月19日にオープン戦でデビューを果たし、翌日には阪神の藤川球児から特大ホームランを放つなど猛アピール。すべりこみで開幕一軍の切符を掴んだ。
173cmという小柄ながら強い打球を放つ吉田正は、そのスイングスピードの速さに因るところが大きい。故に、そのスイングに耐えられる身体づくりが重要になってくるはずだ。プロ1年目でその課題と向き合う機会を与えられたことは、これからオリックス打線の中軸を担っていくであろう吉田正にとって、長い目で見るとプラスとなるのかもしれない。
パワーアップして復帰
約3カ月の故障離脱を経て吉田正は、さらにパワーアップして帰ってきた。
復帰後2戦目となる西武戦では、二塁打を2本放ち1打点をマーク、8月18日の日本ハム戦で増井からプロ初本塁打となる同点ソロを放つ。さらにその2日後にはプロ初猛打賞を記録し、1週間後の27日に前述の2打席連続ホームランが飛び出した。数字を見ただけでも離脱前よりも長打力が増していることがわかる。
さらに30日にQVCマリンで行われたロッテ戦では、“10メートル以上の逆風”の中、スタンリッジのカットボールをライトスタンドに運ぶ勝ち越しソロを放った。逆風を物ともせず本塁打にした吉田正は「自分のスイングでしっかり良い打球が飛んだ。打った瞬間、行ったなあと思ったんですけど、結構飛んでくれて良かったです」と喜んだ。
チームは最下位と苦しい状況だが、故障で出遅れたドラフト1位ルーキーが残りの試合、バットで“オリックスファン”を熱くしてくれることだろう。