若手に切り替えつつあるスタメン
交流戦を5勝13敗の12球団最下位で終えたオリックス。シーズン通算では24勝42敗で、パ・リーグ首位のソフトバンクに22.5ゲーム差をつけられ、早くも自力優勝が消滅した。3位の日本ハムとも12ゲーム差あり、まだ77試合残しているとはいえクライマックス・シリーズ進出はほぼ絶望的だ。
2014年は、最後の最後までソフトバンクと優勝を争ったものの、昨季は61勝80敗2分で優勝したソフトバンクに30ゲーム差も離れた5位。そして今季も早々に優勝争いから離脱してしまった。低迷している理由のひとつは世代交代の失敗だが、投手陣に関しては若い力が台頭しつつある。先発では東明大貴(27歳)や松葉貴大(26歳)がローテの一角に回り、リリーフでは故障で離脱してしまったが塚原頌平(24歳)や、交流戦で3勝を挙げた吉田一将(27歳)が結果を残している。
問題なのは野手陣だが、交流戦の終盤から徐々に若手へ切り替えてきた。開幕のオーダーと交流戦最後の阪神戦のオーダーを比べてみる(年齢は今年の満年齢)。
【開幕】
(指)吉田正尚 23歳
(一)小谷野栄一 36歳
(右)糸井嘉男 35歳
(三)ブレント・モレル 29歳
(中)ブライアン・ボグセビック 32歳
(遊)中島宏之 34歳
(左)T-岡田 28歳
(捕)伊藤光 27歳
(二)西野真弘 26歳
【6月20日 阪神戦】
(二)西野真弘 26歳
(遊)安達了一 28歳
(右)糸井嘉男 35歳
(一)ブレント・モレル 29歳
(三)奥浪鏡 21歳
(左)武田健吾 22歳
(中)大城滉二 23歳
(捕)若月健矢 21歳
開幕オーダーの平均年齢は30歳に対し、20日の阪神戦は25.6歳と約5歳若返っている。スタメン以外でも小島脩平(29歳)や新人の鈴木昂平(25歳)といった一軍経験の浅い選手を一軍登録している。
登録、抹消……入れ替わり激しい一軍メンバー
来年以降を見据えた戦いにシフトしたように見えるが、疑問が残る部分もある。5月下旬からスタメンに定着し、打率3割以上を残していた小島が6月11日のDeNA戦から6試合連続無安打に終わるとスタメンから外した。20日の試合でスタメンだった武田も3打数ノーヒットに終わったためか21日に登録を抹消されている。6月だけで投手を含め、のべ19選手の登録を抹消と、入れ替わりが激しい。
若手に経験を積ませたいのか、勝利を求めたいのか……両立は当然ながら難しいが、もう少し根気よく起用する必要があるようにも感じられる。また、大城の本職は内野手(遊撃手)で、二軍でも遊撃手として27試合、二塁手として6試合、三塁手として1試合に出場しているが、一軍では外野を守らせるなど一貫性がなかった。
若手が一軍の壁にぶつかったとしても、即二軍となれば一軍の壁を乗り越えようにも乗り越えられない。一軍に定着するには、一軍で経験を積むしかないのだ。「この選手を育てる」と信念を持ち、少し調子を落としても根気よく起用するのは大事なこと。このままの方針を続ける限り、世代交代はうまく進まないのではないだろうか。
文=京都純典(みやこ・すみのり)