首位・ソフトバンクに試練
パ・リーグ首位を走るソフトバンクに、大きな試練が訪れた。
迫り来る日本ハムとのデッドヒートの中、不動のレギュラーである柳田悠岐が右手指を骨折。レギュラーシーズンは絶望とみられ、ポストシーズンにも果たして間に合うか...という最悪の事態となってしまった。
言うまでもないチームの顔。「不振、苦戦」と言われる中でも打率はリーグ3位の.306を記録し、18本塁打で73打点、23盗塁と各部門でリーグ上位の成績をマーク。昨年タイトルを掴んだ出塁率は.446で、今年もここまでリーグトップだ。
両リーグで見ても唯一の四球100個は、相手から恐れられている何よりの証拠。男の離脱はチームにとって大打撃であり、今季最大のピンチと言っても過言ではない。
“未完の大砲”に大チャンス
それでも、ソフトバンクには他球団も羨むような選手層がある。離脱によって空いたポジションを狙う選手たちが多く控えているということも事実だ。
まずは一軍昇格後、好調な打棒を発揮している12年目の江川智晃がその一人。
宇治山田高からドラフト1位で指名された男も、気がつけば今年の10月で30歳になる。巨大戦力を前になかなか芽を出すことが出来ず、今年も6月からは二軍暮らしが続いていたものの、8月24日の再昇格以降は8試合で打率.435、3本塁打、8打点の大暴れ。出塁率.536、長打率は1.000と驚異的な数字を残している。
貴重な“右の強打の外野手”として 存在感を発揮することができるか...。今ノッてる男にかかる期待は大きい。
再ブレイク、待機中――?
また、今回抹消となった柳田に代わる形でコールアップされたのが城所龍磨だ。
13年目の大ブレイクを果たした今シーズン。守備・走塁のスペシャリストだった男は、交流戦期間中に15試合で打率.415、5本塁打、15打点と打撃開眼。交流戦MVPの勲章も掴んだ。
ところが7月は月間打率が.083と低迷するなど、魔法が溶けたかのような成績に終わり、足の故障もあって8月22日に二軍落ち。飛躍から一転、悔しい思いも抱いていた。
数カ月ぶりの“再ブレイク”となるか。「城所待機中」――男を待ちわびるファンは大勢いる。
一軍未経験の23歳
最後に、“穴”候補として紹介したい選手が、育成出身5年目の釜元豪だ。
2011年の育成ドラフト1巡目でソフトバンクに入団した23歳。昨年の7月31日に支配下登録をサれるも、未だ一軍出場はなし。それでも今季はファームで存在感を発揮している。
打率こそ.260で本塁打は2本も、リーグトップの20盗塁をマーク。7月はリーグトップの月間打率.400と24安打を放ち、打点12と盗塁4もリーグトップタイ。出塁率と長打率でもリーグトップの成績を残すなど、猛打爆発でファームの月間MVPにも輝いた。
ピンチをチャンスに...。“代役”から“ラッキーボーイ”となり、チームを救う選手は出てくるか。
上述の3名のみならず、福田秀平や上林誠知ら若く良い選手が揃うソフトバンクの“チーム内バトル”からも目が離せない。