“崖っぷち”の男
9月9日、ついにパ・リーグの首位に浮上した日本ハム。セ・リーグは広島がマジックを1として優勝に王手をかけている一方、パ・リーグの方は日本ハムとソフトバンクによる争いが最後まで続きそうだ。
そんな優勝争い真っ只中のチームで、“勝負の時”を迎えている男がいる。背番号「18」・斎藤佑樹だ。
ストッパーのマーティンが故障離脱したことに伴い、9月6日に昇格。約1カ月ぶりの一軍復帰を果たした。
伝説の夏から10年…
斎藤佑樹といえば、高校時代は早実のエースとして全国制覇を成し遂げ、大学時代もエースで主将として4年次に神宮大会を制覇。史上6人目となる30勝&300奪三振を達成するなど、輝かしい功績を残してプロの舞台へと飛び込んだ。
そんな男も、気がつけば28歳。早実のエースとして伝説を残したあの夏から10年が経った。まさかプロの世界でここまでの苦境に立たされているとは、誰もが想像し得なかったことだろう。
「崖っぷち」。そんな言葉も耳にする。たしかに、それぐらい厳しい状況にある。
夏場、指を故障した大谷翔平が野手に専念。加えて吉川光夫やメンドーサら先発陣に空きができた中でも、斎藤にはなかなか声がかからなかった。
そんな中、チームは開幕当初ストッパーを務めていた増井浩俊の先発転向を決断。すると、それまでの不調が嘘のように勝ち進み、先発転向後6試合で4勝1敗、完投が1つに完封も1つと、エース級のはたらきで首脳陣の期待に応えた。
自らの価値を示せるか
斎藤が生き残る道は...。まずは中継ぎとして存在感を発揮することが第一となる。
チームは前述の通り守護神・マーティンが離脱する緊急事態。代役は吉川光夫が務めているが、その最初の登板でセーブに失敗するなど不安を残した。
栗山英樹監督は全員で穴を埋めていくことを強調しており、斎藤がリリーフで好投を続ければ抑えを任される可能性だってある。
鳴り物入りでプロの世界に飛び込んでから6年...通算成績は14勝20敗で防御率3.97。「こんなはずではない」、本人もファンもそう思っているはずだ。
崖っぷちに追い込まれながらも、この大事な時期にチャンスが巡って来るあたり、男はまだ“持っている”のかもしれない。
これまでのキャリアをひっくり返すような活躍を見せることができるか。“勝負の時”を迎えた背番号「18」に注目だ。