イチローに挑んだボストンの若武者
イチローが持つMLBのシーズン最多安打記録に危機――。
そんな話が持ち上がったのは、前半戦も終わろうかという7月頭のこと。レッドソックスのイグザンダー・ボガーツが驚異的なペースで安打を量産したことを受け、ボストンのメディアが「イチロー超え」としてそれを煽った。
たしかに、23歳の若武者の前半戦はものすごかった。4月こそ27安打で打率.290と突出した成績ではなかったが、5月に月間49安打を記録。結局、前半戦は85試合の出場で117安打を記録し、メジャー新記録を打ち立てた2004年のイチローに「あと2本」と迫っていた。
では、その後のボガーツはどうなったのだろうか。
「262」の偉大さ
現地時間9月9日時点で、ボガーツの安打数は171本。リーグ6位というところに落ち着いている。
7月は月間打率.288で30安打に終わると、8月は打率.219で25安打と低迷。記録はおろか最多安打争いからもゆるやかに脱落する形となってしまった。
ちなみに、2004年のイチローは7月に51安打を放つと、8月は56安打と大爆発。9月にも44安打と最後までハイペースで安打を重ね、ようやく塗り替えた大記録であった。
2004年・イチローの後半戦成績は76試合で打率.429、143安打という信じられないような数字。前半戦でイチロー並に打っていたとしても、後半戦でさらにペースを上げることができなければシーズン記録には及ばないということが改めて証明された。
なお、現在メジャーで最も安打を放っているのがアストロズのホセ・アルテューべ。ここ2年連続で200安打を達成し、最多安打にも輝いた男でもここまで189本と、やはり「262」の壁は高い。
今後イチローの記録に近づく選手は現れるのか、来シーズン以降に期待したい。
2004年のイチロー
161試 率.372(704-262) 本8 点60 出率.414 長率.455 OPS.869▼ 月別の成績
[4月] 23試 率.255(102-26)
[5月] 27試 率.400(125-50)
[6月] 26試 率.274(106-29)
[7月] 26試 率.432(118-51)
[8月] 28試 率.463(121-56)
[9月] 28試 率.373(118-44)
[10月] 3試 率.429(14-6)
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[前半戦] 85試 率.321(371-119) 本3 点31
[後半戦] 76試 率.429(333-143) 本5 点29