ケンカがキッカケで...?
アスレチックスは現地時間11日(日本時間12日)、ビリー・バトラーの放出を発表した。
2014年にロイヤルズの快進撃を支えた男は、2015年からアスレチックスへと移籍。3年総額3000万ドル(現在のレートで約30億5000万円)という大型契約でやってきた。
ところが移籍初年度を打率.251、15本塁打、65打点という成績で終えると、今シーズンはここまで打率.276も、4本塁打で31打点と大不振に。
極めつけは8月、クラブハウス内でチームメイトと口論を起こし、当事者たちは口を閉ざしているもののそれが取っ組み合いのケンカへと発展したとかしないとか。
その後、バトラーは体調不良で欠場となり、最終的には脳しんとうによって故障者リスト入り。真相は語られていないものの、ケンカとなった際に殴られたのが原因ではないかと言われている。
10億払っても「いらない」
低迷する選手をシーズン途中で解雇することはさほど珍しいことではないのだが、衝撃を呼んだのは3年契約の2年目にして解雇するという
決断に至ったことだ。
まだ契約が残っており、その分の年俸はアスレチックスが支払うことになる。それでもなお、「タイミングの問題」と球団側は不利益も飲み込んだ。そこからは“どうしても出て行って欲しかった”ことが容易に読み取れる。
アスレチックスといえば、2011年に公開された映画『マネーボール』でその経営理念が世界的に有名になった。
中でも特徴的なのが、主観を徹底的に排除し、データで選手を観察するというもの。アウトにならないこと(=出塁率)と1打席で多くの塁を奪うこと(=長打率)を重視し、使えるはずなのに低い評価を受けて埋もれている選手を発掘。そうした知恵を振り絞り、低予算ながらメジャーの金満球団を相手にも渡り合ったというお話である。
そんな“コスパ”をなにより重視してきたこの球団が、10億円という大金をただ捨てるという決断を下した...。これも世間に大きな衝撃を与えた要因のひとつであった。
なお、バトラー本人はまだ「チームに貢献ができる」と売り込み中だという。たしかに実績はあるが、今回の一連の騒動を見ていると各球団もそうやすやすと手を挙げることができないというのが本音だろう。
バトラーはここから這い上がることができるのか...。今後の動向に注目が集まる。
▼ ビリー・バトラー
・出身:アメリカ
・生年月日:1986年4月18日(30歳)
・メジャー10年目
・投打:右投右打
・ポジション:内野手
[今季成績] 85試 打率.276 本4 点31 出塁率.331 長打率.403 OPS.734
[MLB通算] 1402試 打率.289 本146 点724 出塁率.354 長打率.441 OPS.795