左投手の白星は5勝
今季ロッテは、31年ぶりに2年連続でAクラス入りを果たした。
チームの打率はリーグ5位の.256、得点はリーグ4位の583得点と精彩を欠いた中、投手陣の活躍が光った。先発陣は涌井秀章、石川歩の“二枚看板”が2ケタ勝利をマークし、スタンリッジが8勝、近年不調が続いた唐川侑己も復活 。リリーフ陣も 故障者が続出したが、南昌輝が台頭、守護神の西野勇士に代わりシーズン途中から抑えを務めた益田直也がその役割を果たし、 チーム防御率はリーグ3位の3.66を記録した。
投手陣の安定感は光ったが、左投手に限ると白星の数はわずか「5勝」。左投手では阪神が12球団最多の28勝を挙げ、その他の球団も軒並み20勝を越えたなか、唯一ロッテだけ10勝未満に終わった。
【12球団の左腕の白星】
阪神 28勝(先:23勝 リ:5勝)
DeNA 27勝(先:18勝 リ:9勝)
中日 26勝(先:21勝 リ:5勝)
巨人 25勝(先:23勝 リ:2勝)
広島 22勝(先:18勝 リ:4勝)
ヤクルト 21勝(先:12勝 リ:9勝)
ソフトバンク 20勝(先:17勝 リ:3勝)
西武 20勝(先:12勝 リ:8勝)
楽天 20勝(先:11勝 リ:9勝)
日本ハム 17勝(先:10勝 リ:7勝)
オリックス 13勝(先:11勝 リ:2勝)
ロッテ 5勝(先:1勝 リ:4勝)
各球団の先発が10勝以上を挙げたなか、ロッテの先発はチェン・グァンユウが挙げた1勝のみ。リリーフの松永昂大が挙げた3勝がチーム最高で、 残りの1勝はロングリリーフとして活躍した藤岡貴裕によるものだ。
今年は、涌井秀章、石川歩、スタンリッジ、二木康太、唐川侑己ら右投手が先発ローテーションに入り、ローテーションに定着するサウスポーは最後まで現れなかった。
昨季5勝をマークしたチェンは、大半を二軍で過ごし、今季初勝利を挙げたのはシーズン終盤、 9月1日のオリックス戦。この試合で白星を挙げるも、その後に先発したのは9月30日の日本ハム戦だけだった。
成瀬が移籍後、左投手の白星が減少
最近5年間の左投手の白星を見ると、12年が21勝、13年が30勝、14年が26勝マークしているが、ここ2年間は15年が11勝、今年が5勝。エースだった成瀬善久がヤクルトに移籍してからは、先発左腕の駒不足が続いている。
<最近5年間のロッテ左腕の白星数>
【2012年】21勝
成瀬善久 12勝(先:12勝 リ:0勝)
藤岡貴裕 6勝(先:6勝 リ:0勝)
中後悠平 2勝(先:0勝 リ:2勝)
吉見祐治 1勝(先:1勝 リ:0勝)
【2013年】 30勝
古谷拓哉 9勝(先:9勝 リ:0勝)
成瀬善久 6勝(先:6勝 リ:0勝)
藤岡貴裕 6勝(先:3勝 リ:3勝)
松永昂大 4勝(先:2勝 リ:2勝)
レデズマ 3勝(先:0勝 リ:3勝)
服部泰卓 2勝(先:0勝 リ:2勝)
【2014年】26勝
成瀬善久 9勝(先:9勝 リ:0勝)
古谷拓哉 7勝(先:6勝 リ:1勝)
藤岡貴裕 6勝(先:6勝 リ:0勝)
松永昂大 4勝(先:0勝 リ:4勝)
【2015年】11勝
チェン・グァンユウ 5勝(先:4勝 リ:1勝)
古谷拓哉 3勝(先:3勝 リ:0勝)
藤岡貴裕 2勝(先:0勝 リ:2勝)
木村優太 1勝(先:1勝 リ:0勝)
【2016年】5勝
松永昂大 3勝(先:0勝 リ:3勝)
チェン・グァンユウ 1勝(先:1勝 リ:0勝)
藤岡貴裕 1勝(先:0勝 リ:1勝)
左腕不足最大の要因は明確で、前述したように成瀬の移籍以降、左の先発がローテーションに定着できていないことにつきる。今季、先発左腕の勝利数が1桁だったのはロッテしかない。
11年ドラフト1位でプロ入りした藤岡貴裕は将来のエースとして期待されたが、ローテーションに定着できず、昨季途中からリリーフに転向。古谷拓哉は13年に9勝を挙げたが、その後は7勝、3勝、0勝に終わり、木村優太と川満寛弥は結果を残せず、今季限りで戦力外通告を受けた。ここ数年、多くの左投手が期待に応えられずにいる。
一方で明るい材料もある。リリーフ陣は53試合に登板した松永昂大や、今季から本格的に救援に回った藤岡の活躍。さらにシーズン終盤には、二軍でリーグ最多の51試合に登板した宮崎敦次が、一軍で2試合に登板し、2イニングを0安打、2奪三振、無失点と好投。来季に向けて楽しみな存在だ。
左のリリーフ陣は駒が揃いつつある。今季1勝に終わったチェンを始め、誰かしらがローテーション一角に入り込むことができれば、今年以上の成績を収めることもできるはずだ。