精彩を欠いた期待のサウスポーコンビ
10日から東京ドームで行われたメキシコ、オランダとの強化試合を3勝1敗で終えた侍ジャパン。結果的に勝ち越しこそ決めたたものの、投手陣は4試合で29失点と精彩を欠き、中でも先発陣は全員が失点を喫するなど課題を残した。
特に苦しかったのが、今回が代表初招集となった石田健大(DeNA)、田口麗斗(巨人)のサウスポーコンビ。「左投手」が近年の日本の泣き所となっていただけに、大きな期待がかけられた両者であったが、13日のオランダ戦に登板すると揃って4失点...。アピールとはならなかった。
この強化試合での2人の成績は以下の通り。
【石田と田口の強化試合成績】
石田健大(DeNA)
1試 0勝0敗 3回 責4 防12.00
田口麗斗(巨人)
1試 0勝0敗 2回 責4 防18.00
メジャー帰りの最多勝左腕
球界の“先発型のサウスポー”を見渡すと、今季規定投球回に到達した日本人左投手は7人いる。その中でも最も結果を残した投手といえば、和田毅(ソフトバンク)だろう。
カブスからソフトバンクに復帰した今季、先発の一角としてリーグ最多の15勝をマーク。いわゆる“メジャー帰り”の選手は日本復帰後に成績を落とす傾向が多い中、見事に結果を残して見せた。
和田は今回の強化試合では代表に選出されなかったが、第1回のワールドベースボールクラシック(WBC)、アテネ五輪、北京五輪の日本代表に選出されるなど代表経験が豊富。また、今回の強化試合では最年長が増井浩俊の32歳ということを考えると、35歳の経験豊富なベテランが加わることで、投手陣の精神的支柱としての役割も期待ができる。
ただし、不安があるとすれば、シーズン終盤に痛めた左肘の故障によりクライマックスシリーズ(CS)に1試合も登板できなかったこと。ゲスト解説として出演したテレビ朝日系の野球中継の中で「キャッチボールを再開した」と話しているが、大会までに本来の状態に戻っているかどうかが気になるところ。問題がなければ、来年3月のWBCに出場して欲しい投手の1人だ。
「1試合での判断は難しい」
ほかにも、今季12勝7敗を挙げて防御率2.58と飛躍を遂げた菊池雄星(西武)や、小久保ジャパン発足後の5試合で防御率1.87(9回2/3 自責2)という好成績を残す大野雄大(中日)などもいる。
石田と田口について、「1試合での判断は難しい」と話した小久保監督であるが、「評価する場がないのも事実。今回の結果を踏まえて話し合っていきたい」としている。
ボールの問題などもあって投手陣全体が精彩を欠いたが、その中でも特に不安定さが目立った左の2人。期待も大きかっただけに、共倒れは頭の痛いところであろう。
いよいよ来年3月に開催されるWBCに向けて、長らく“課題”としてきた「左投手」というポイントをどのように埋めてくるのか。指揮官の選考に注目が集まる。
規定投球回に到達した日本人左腕
<パ・リーグ>
和田毅(ソフトバンク)
今季成績:24試 15勝5敗 防3.04
菊池雄星(西武)
今季成績:22試 12勝7敗 防2.58
塩見貴洋(楽天)
今季成績:24試 8勝10敗 防3.89
<セ・リーグ>
田口麗斗(巨人)
今季成績:26試 10勝10敗 防2.72
石田健大(DeNA)
今季成績:25試 9勝4敗 防3.12
能見篤史(阪神)
今季成績:26試 8勝12敗 防3.67
岩貞祐太(阪神)
今季成績:25試 10勝9敗 防2.90