最も劇的な一打を放ったのは...
「2016 スカパー!ドラマティック・サヨナラ賞」の表彰式が1日に行なわれ、今年最も劇的な一打を放った選手に贈られる「年間大賞」が決定。パ・リーグはソフトバンクの吉村裕基、セ・リーグは広島の鈴木誠也がそれぞれ選ばれた。両選手にはオリジナルトロフィーと、賞金200万円が贈られる。
「最後の一球まで何が起こるかわからない」のが野球の醍醐味であり、その象徴的なプレーである“サヨナラ打”を称えるのが「スカパー!ドラマティック・サヨナラ賞」。「年間大賞」は今年で8年目を迎え、2012年からは月間の表彰も行われている。
同点、サヨナラの2打席連続弾
その日は4点ビハインドで9回裏を迎えたソフトバンクが内川の適時打により1点を返すと、二死一、二塁から代打で登場した吉村が値千金の同点3ラン。土壇場で試合を振り出しに戻し、延長戦へと望みをつなぐ。
そして迎えた12回裏、もう一度打席に入った吉村は、戸村健次の高め速球を打ち抜き、左中間スタンドへのサヨナラ2ラン。同点、サヨナラの劇的すぎる2打席連発でチームを勝利へと導いた。
この時のことを振り返った吉村は、「この前日(4月16日)に熊本地震が起き、試合が中止となった後だったので、選手たちも『野球しかない』『一生懸命やるぞ』という気持ちで円陣を組んでいた」と秘話を語り、「被災した方々の気持ちを少しでも勇気づけられたのであれば嬉しく思う」と語った。
なお、吉村の年間大賞受賞は自身初のことであるが、チームとしては一昨年の松田宣浩、昨年の柳田悠岐につづいて3年連続の年間大賞となる。
“神ってる”の原点
セ・リーグの年間大賞は、6月18日のオリックス戦で逆転サヨナラ3ランを放った鈴木誠也が受賞。こちらも自身初の受賞となり、球団としても2010年の天谷宗一郎以来で6年ぶりのこととなった。
実はこの前の日の試合でもサヨナラ本塁打を放っていた鈴木。この試合は広島が2点を追う9回、一死一、三塁と一打逆転サヨナラの場面で打席が回ってきた。
ところが平野佳寿を前に1ボール・2ストライクと追い込まれ、「正直諦めていたというか...きついかなと思っていた」という鈴木。それでも、「フォークが抜けてこないかなぁ」と望みを捨てなかった男に勝利の女神がほほえむ。
落ちきらなかったフォークをすくい上げると、打球は左中間スタンドに飛び込む逆転サヨナラ3ラン。プロ野球史上10人目となる2試合連続のサヨナラ本塁打に、緒方孝市が思わず口にした言葉が「神ってる」であった。
ちなみに、この表彰式のあとに発表された流行語大賞でも年間大賞に輝いた「神ってる」というワードであるが、鈴木本人としては「そのあとに打ってもすべてが“神ってる”いう感じになったので、すこし嫌でした。まぐれみたいに聞こえるので」と意外な心境を吐露。
それでも、「いろいろな方がこれで知ってくれて、街でも『神ってる!』って馬鹿にされていたので(笑)Mではないですけど、そこは監督に感謝しています」と語っている。
「スカパー!ドラマティック・サヨナラ賞 年間大賞」歴代受賞者
<2009年>セ:亀井義行(巨人)
パ:井口資仁(ロッテ)
<2010年>
セ:天谷宗一郎(広島)
パ:小久保裕紀(ソフトバンク)
<2011年>
セ:長野久義(巨人)
パ:松田宣浩(ソフトバンク)
<2012年>
セ:和田一浩(中日)
パ:中田翔(日本ハム)
<2013年>
セ:長野久義(巨人)
パ:浅村栄斗(西武)
<2014年>
セ:福留孝介(阪神)
パ:松田宣浩(ソフトバンク)
<2015年>
セ:雄平(ヤクルト)
パ:柳田悠岐(ソフトバンク)
<2016年>
セ:鈴木誠也(広島)
パ:吉村裕基(ソフトバンク)