今季、40歳以上でMLBに出場した野手は5人 その中で最高の成績を残しているイチロー
日米で数々の記録を打ち立ててきたイチロー(ヤンキース)も、今年の10月22日で41歳になる。今季の成績は136試合に出場し、336打数95安打、打率.283、出塁率.323、1本塁打、20打点。守備固めなど途中出場も多く、361打席は最も多かった762打席(04年)の半分にも満たない。ヤンキースの残り試合が8のため、年間100安打も達成が不透明な状況だ。かつては年間200安打、打率3割が当たり前だったイチローも衰えたのだろうか?
確かに、個人の成績だけで考えれば衰えたと言わざるを得ないが、同世代の選手と比べるとイチローのまたちがった面が見えてくる。
今季、MLBの試合に出場した40歳以上(74年生まれ以前)の選手は、イチローを含めてたったの7人。そのうち野手は5人で、いずれもMLBで一時代を築いた名選手ばかりだ。
通算440本塁打のジアンビ(インディアンス・71年生まれ)は今季24試合に出場し、打率.140、出塁率.258、2本塁打。マリナーズ時代はイチローともチームメートだったイバニエス(エンゼルス→ロイヤルズ・72年生まれ)は89試合に出場し、打率.167、出塁率.260、5本塁打。シーズン100打点以上8回、通算打率.291のアブレイユ(メッツ→戦力外・74年生まれ)は71試合に出場し、打率.246、出塁率.336、1本塁打。そして、今季限りで引退するヤンキースのキャプテン、ジーター(74年生まれ)は138試合に出場し、打率.254、出塁率.302、4本塁打だ。
つまり、同世代にイチロー以上の成績を残している選手はいないのだ。
昨季から成績を伸ばしているのはイチローだけ MLB通算3000安打まで残り163安打
昨季との成績を比べてもイチローは際立っている。昨季からの打率、出塁率の変動は以下の通りだ。(左が昨季、右が今季)
ジアンビ 打率.183→.140 出塁率.282→.258
イバニエス 打率.242→.167 出塁率.306→.260
アブレイユ 打率.242→.246 出塁率.350→.336
ジーター 打率.190→.254 出塁率.288→.302
イチロー 打率.262→.283 出塁率.297→.323
なお、ジーターに関しては、2012年の終盤にケガをした影響で、昨季は17試合の出場に止まった。2012年の打率.316、出塁率.362から考えると、大きく成績を落としている。
昨季と比べてアブレイユの打率はわずかに上がっているが、打率、出塁率ともに上がっているのはイチローだけである。40歳を越え、チーム内での役割も以前とはちがう中、成績を伸ばしているイチローには改めて驚かされる。
今季、もし100安打を達成すれば日米通算ながら王貞治に並び21年連続100安打の記録となる。1900年以降のMLBでも20年連続100安打を記録しているのはタイ・カッブ、ハンク・アーロンなど4人しかいない(最多はピート・ローズの23年連続)。
MLB通算3000安打まで163安打。出場機会といった問題はあるものの、40歳を越えても成績を伸ばしたイチローなら不可能な数字ではない。
(数字はすべて日本時間の9月21日時点)
文=京都純典(みやこ・すみのり)