もたつくソフトバンクにお付き合い 最終盤に絶対的守護神がまさかの乱調
今季序盤から激しいデッドヒートを繰り広げてきたパ・リーグの2強。首位ソフトバンクと2位オリックスは9月下旬に入っても2.5ゲームのわずかな差で優勝を争っている(9月23日終了時点)。
ただ、ソフトバンクは先週今季初の4連敗を喫するなど、どうもぴりっとしない。4カード連続で負け越し、マジック点灯を目前に足踏み状態だ。オリックスにとっては千載一遇のチャンスである。しかし、9月16日〜18日のソフトバンクとの直接対決こそ2勝1敗と制したものの、残る3カードは負け越し。完全にライバルにお付き合いしている状況だ。
オリックスが失速した要因の一つははっきりしている。守護神・平野佳寿の乱調である。9月は6試合に登板しているが、直近4試合連続で失点しており、すでに3敗。しかも、その全てがサヨナラ負けであり、チームへ与えるダメージは大きい。ちなみに、その3試合を勝っていれば、ソフトバンクから首位を奪還していた計算になる。
平野といえば、球威抜群のストレート、落差のあるフォークのほか、制球力の良さで知られる投手である。その平野が、9月20日のロッテ戦では2四球とコントロールに苦しみ、ストレートの球速も本来のものではなかった。
昨季まで4年連続で60試合以上に出場し、今季の登板数もここまで55。平野の不調には蓄積された疲労が少なからず影響していると推測される。また、肉体的疲労ばかりではなく、自信を失ったかのような表情からは精神的な疲弊までもがうかがえた。
あくまでも最後を任せるのは平野! 戦い方を変えない森脇監督の男気采配
もちろん、平野が今季のオリックスの躍進を支えたひとりであることは疑いようがない。しかし、最近の登板内容を見る限り、投手陣の配置転換も考えてもいいのではないか——そんな声もささやかれ始めている。
馬原孝浩はけがから完全復活し、何より、クローザーとして優勝を果たしたソフトバンク時代の経験が武器となるはず。また、昨季の最優秀中継ぎ投手・佐藤達也は今季もここまで61試合に登板するなど大車輪の働きをしており、防御率は1.22。どちらも平野の代役を十分に果たせるはずだ。
しかし、9月21日のロッテ戦、同点の場面で先発のブランドン・ディクソンからバトンを譲り受けたのは佐藤達也であり、5点をリードした9回を任されたのは馬原であった。これは森脇浩司監督の「平野と心中する」というメッセージにほかならないと思う。
残り10試合、セーブがつく場面での9回、マウンドに立つのは平野だろう。選手とのコミュニケーション、信頼関係を重視する森脇監督らしい“男気采配”。あとは平野がその心意気に応えるだけだ。
今週からの8連戦を終えれば、10月2日にはソフトバンクとの最後の直接対決が控える。今週の成績次第では、優勝を決する歴史的な一戦となるかもしれない。また、そうするためにも平野の復調が必要なのである。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)