コラム

MLB新人王争い…13勝の田中が獲得する可能性は?

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今季13勝(5敗)、防御率2.77の好成績を収めたヤンキース田中将大投手 [Getty Images]

本命不在のナ・リーグ新人王レース


 メジャーリーグはレギュラーシーズンの全日程を終え、現地時間30日からポストシーズンが始まる。首位打者や最多勝投手などの個人タイトルも確定。ワールドシリーズ後にはMVPやサイヤング賞などが発表される。今回はその年の最も優秀な新人選手を表彰する新人王の行方を占いたい。2か月以上戦列を離れながら13勝を挙げた田中将大投手(ヤンキース)に受賞の可能性はあるのだろうか。

 まずはナ・リーグ。過去10年の受賞者のうち8人は野手、2人が投手だった。今年は193cmの長身デグローム投手(メッツ)と2012年にマイナーリーグ132試合で155盗塁を走った快足ハミルトン外野手(レッズ)の一騎打ちになるとみられている。

 デグロームは防御率2.69ながら、9勝6敗に終わり、投球回数も規定に達しなかった。先発投手が一桁勝利で新人王を受賞したのは両リーグ合わせても1981年が最後。その年、8勝4敗で受賞したリゲッティ投手(ヤンキース)以降は出ておらず、9勝に終わったのは不利になるだろう。81年はストライキの影響で2か月近く短縮されたシーズンだったため、やはり最低10勝は挙げておきたかった。

 ハミルトンはマイナー時代の実績から今季は盗塁王の本命と目され、100盗塁の可能性も言及されていた。しかし出塁率(.292)が伸びず、結局ナ・リーグ2位の56盗塁に終わった。盗塁王を獲得していれば新人王の決め手となっただろうが、デグローム、ハミルトンのどちらが受賞しても例年に比べると成績的にやや物足りないといえるだろう。


MLBでもキューバ旋風!? MVP級の活躍を見せたキューバの怪物


 一方のア・リーグは、過去10年で投手と野手5人ずつが受賞している。今年は田中が13勝5敗、防御率2.77でシーズンを終えた。ナ・リーグの2人との争いなら文句なしの受賞となっていただろう。しかし今季のア・リーグにはキューバからの怪物がいたことは田中にとって不幸だったといえよう。

 アブレイユ内野手(ホワイトソックス)は、2013年のWBCでキューバの5番打者として活躍。キューバ国内リーグでも数々のタイトルを獲得した右の大砲だ。今季から活躍の場をメジャーに移し、オールスターまでに29本塁打を放った。新人ながらHRキングも期待されたが、後半はHR数が伸びず4本差のリーグ3位タイに終わった。しかし最終的には打率.317、36本塁打、107打点とMVP級の数字を残した。

 仮に田中が故障せず20勝前後の勝ち星を挙げていたとすれば、アブレイユと接戦になっていたかもしれない。この2人に共通するのは、それぞれの国内リーグですでに実績があったことだ。日本人では過去に野茂英雄氏(当時ドジャース)、佐々木主浩氏(当時マリナーズ)、そしてイチロー(同)が新人王を受賞しているが、その後松井秀喜氏、松坂大輔投手、ダルビッシュ投手らは、日本での実績から新人王にふさわしいかどうかの議論もあり受賞を逃した。

 規定上は田中、アブレイユともに新人王の資格はあるため、今年はアブレイユがすんなり受賞するだろう。しかし、仮に“純粋なルーキー”が2人と同等かそれに近い数字を残していれば、再び新人王議論が起きていたはずだ。来年以降もキューバや日本のプロ野球からメジャー挑戦を果たす選手は出てくる。そういった選手が不利な扱いを受けないように、今後しっかりルールを決めることも必要になってくるだろう。
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