コラム 2014.10.31. 12:15

メジャーMVP争いは両リーグともに混戦予想…“ジーターの後継者” トラウトの初受賞は!?

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ジーターの後継者として期待を受けるエンゼルスのM.トラウト[Getty Images]

混迷不在のナ・リーグ カーショー(ドジャース)のダブル受賞はあるか!?


 メジャーリーグにおいて、最も活躍した選手に贈られるMVP(最優秀選手)。近年はサイ・ヤング賞とのすみわけもあり、野手が受賞するケースがほとんどだが、2011年にバーランダーが投手として19年ぶりに受賞するなど、サイ・ヤング賞とのダブル受賞の可能性もある。

 絶対的本命不在のナ・リーグはカーショー(ドジャース)にダブル受賞の可能性がある。野手ではマーリンズのスタントンが9月に顔面に死球を受け戦列を離れたにもかかわらず、2位に5本差をつけて本塁打王に輝いた。ケガがなければ打点王との二冠の可能性もあっただろう。敬遠四球が24個と2位の12個に大差をつけており、相手投手はピンチの場面で勝負を避けていたのが分かる。ただしチームはプレーオフ争いに絡めず、その点はMVP受賞には大きく不利に働くだろう。

 2年連続の受賞を狙うマカチェン(パイレーツ)は主要打撃部門で昨年とほぼ同等の数字を残した。「その打者がどれだけの得点が生み出したか」を算出するRC27という指標で、マカチェンは両リーグトップの8.43をマークした。この数字は、1番から9番までマカチェンだけで打線を組んだと仮定した場合、1試合あたり8.43点入るだろうという、興味深い指標だ。MVPを受賞した昨年は7.54だったので、今年の方が生み出した得点は大きいことになる。

 スタントン、マカチェンに続くのが投手のカーショーだ。ナ・リーグで投手が受賞すれば1968年のギブソン以来となる。春先は故障で離脱したが、6月以降は21試合に先発して18勝1敗。今季27試合中24試合がクオリティースタート(6回以上3自責点以下)という安定ぶりを見せた。そのうち17試合(63.0%)はハイクオリティースタート(7回以上2自責点以下)だった。ちなみに2011年のバーランダーは34試合中HQSが19試合(55.9%)だった。ナ・リーグはこの3人の争いになるだろう。


ア・リーグはトラウト(エンゼルス)とV.マルチネスの一騎打ちか?


 ア・リーグはトラウト(エンゼルス)とV.マルチネス(タイガース)の一騎打ちか。トラウトはジーター引退後のメジャーリーグを背負う存在と言われている。今季は主に2番を打ちながら、36本塁打、111打点といずれも自己最高をマーク。おととし三冠王のカブレラを抑えて打点王にも輝いた。2012年に49個で盗塁王に輝いたが、今季は16個まで減った。しかし走塁と守備の面での貢献度は高い。

 トラウトにひけをとらない活躍を見せたのがV.マルチネスだ。打率(.335)は2位、本塁打(32)が8位、打点(103)は7位タイといずれも上位につけた。マルチネスの特長はそのミート力にある。今季は特に際立っており、本塁打32本に対して三振はわずか42個だった。通常ホームランを30本以上打つような選手は三振が多くなりがちだが、今季のマルチネスは全盛期のバリー・ボンズやプホルスに匹敵する数字を残した。特に2ストライク時の打率は.337をマーク。2位のアルテゥーベが.286だったことを考えると驚異的な数字であることが分かる。安打製造機のイチローですらメジャー14年間で一度も3割を超えたがことないことから、そのすごさが分かるだろう。ただしマルチネスは今季指名打者としての出場がほとんどで、守備での貢献はほぼ皆無とみなされるのは不利となる。指名打者が本職の選手がMVPを受賞したのは1979年のドン・ベイラー以来でていない。その面でもトラウトが若干有利か。

ア・リーグ、ナ・リーグともにMVP争いは混戦もよう。受賞者は11月中旬に発表されるが、今年はどんなドラマが待っているだろうか。

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