コラム 2015.02.16. 14:10

開幕投手の栄誉からシーズン1勝の屈辱を経て…逆襲を誓うDeNA三嶋一輝の球歴とは

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昨季は開幕投手ながらシーズン1勝。今季の巻き返しを誓うDeNA三嶋一輝
三嶋一輝 ,

昨季の開幕投手はDeNAの救世主になれるか?


 2005年以降の10年間で、最下位6回を記録しているDeNA。一昨年、昨年は最下位を脱したものの、いずれも5位。昨季の記録を見ると、チーム打率.253はリーグ最下位ながら、チーム防御率3.76は、巨人、中日に次ぐ3位。投手陣の奮闘に光明を感じられたシーズンだったといえる。

 2005年以来のAクラス入りに向けて、中畑清監督もファンも期待を寄せるのが、3年目を迎える右腕・三嶋一輝だろう。2年目の昨季は開幕投手を任されながら、わずか1勝のみ。失った信頼を取り戻すべく、キャンプに臨んでいる。

 三嶋は1990年5月生まれ、今年25歳。福岡県出身で、野球を始めたのは小学校6年生のとき。当時から両打ちだったそうで、プロでは珍しい右投げ両打ちの投手である。中学時代に目立った成績はなく、その能力が花開いたのは県立福岡工業高校に進学後、投手に専念してから。3年春の九州大会では、4試合34回で50奪三振をマーク。チームを初優勝へと導いた。140キロ台中盤のストレートと2種類のスライダーを投げ、「高校生には攻略不可能」と書いた野球専門誌もあった。

 一躍、甲子園出場に名乗りを上げた県立高校と話題になったが、その年の福岡県は逸材選手が目白押し。辛島航(飯塚→楽天)、笠原将生(福岡工大城東→巨人)、二保旭(九州国際大付属→ソフトバンク)らがいて、三嶋のチームには中島卓也(現・日本ハム)がいた。勝負の3年夏。三嶋と中島の福岡工業は5回戦で、二保がエースの九州国際大付属に敗退。激戦の大会を制して甲子園出場を果たしたのは、エース・辛島を擁する飯塚だった。

2008年秋のドラフトで、チームメートの中島や他校のライバル達がプロへと進む中、三嶋が選んだのは東京六大学の名門・法政大学への進学だった。当時の法政大投手陣は、4年に二神一人(現・阪神)、3年に加賀美希昇(現・DeNA)、2年に三上朋也(現・DeNA)という豪華な布陣。そのなかで、三嶋は1年春から抑えとして登板し、東京六大学リーグ最速(当時)の154キロをマーク。法政大はリーグ優勝、続く全日本大学野球選手権でも優勝と、恵まれたスタートを切った。
2年生から徐々に先発を任されるようになり、4年秋には有終の美を飾るリーグ優勝。最多勝、最優秀防御率、ベストナインの「投手三冠」を獲得。その後の明治神宮大会は悔しい準優勝。それでも、150キロ超のストレートに、縦横2種類のスライダーを披露し、「先発でも抑えでもいける」とプロのスカウト陣をうならせた。

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「右肩上がりの野球人生」、初めて味わう挫折を乗り越えろ!


 迎えた2012年秋のドラフト。DeNAは東浜巨(亜細亜大→ソフトバンク)を外し、駒澤大の内野手・白崎浩之を1位指名。2位指名を受けた三嶋は、「プロ野球は小さい頃からの夢でした。2位という高い評価をいただき嬉しいです。ホッとしました」とコメント。手渡された色紙に「一球入魂」と力強く書き込み、笑顔を見せた。

 プロ1年目の成績は、34試合6勝9敗。146回3分の1で145奪三振。奪三振率8.89はリーグトップ、与四死球79はリーグワーストと、いい面と悪い面がハッキリ出た。なにより評価されるべきは、1年間1軍に居続けたことだろう。さらにシーズン終了後は、小久保裕紀監督率いる日本代表に選出。台湾との試合に登板して、プロ1年目が終了し、2年目の飛躍を誰もが期待した。
 
 開幕投手を務めた2014年。後に「あの開幕戦がすべてだった」と自ら振り返ったヤクルト戦は、2回9安打9失点でノックアウト。「情けない気持ちでいっぱいです。あれだけ調整させてもらったのに、自分らしく投げられませんでした……」と悔しさを吐き出した。そこから不振に陥り、4月末には「中継ぎで原点に戻ってほしい」という中畑監督の配慮で配置転換。それでも結果を残せず、5月頭には「球質が病んでいるかもしれない。一度(1軍から)離した方がいい」という中畑監督の判断で、プロ初の2軍降格となった。

 唯一の勝利は10月3日の巨人戦。先発で5回3失点ながら、味方打線に助けられての勝ち星だった。12月の契約更改では、600万円ダウンの2100万円(推定)でサイン。「野球人生は右肩上がりだったので、期待を裏切ったことがショックでした。申し訳なかったです」と話し、「来年は絶対にやってやるという気持ち。自分らしく堂々としたピッチングをしたいです」と締めた。

 リベンジを誓い、体重管理をしながら臨む3年目のキャンプ。初の実戦登板となった8日の紅白戦では、勢いのあるストレートと、緩急をつけるために習得中というチェンジアップを投げ、2回を無安打無失点、2奪三振。「去年のやり返しというか、今年はやってやろうという気持ちがすごくあります」と力強く話した。

 右肩上がりで駆け上がってきた野球人生で、初めて味わった挫折。まずは、失った自信を取り戻すこと。そして、何度も口にする「自分らしいピッチング」ができれば、結果はついてくるはずだ。プロ3年目、挫折を経て大きく成長したマウンドでの姿、三嶋一輝らしいピッチングを期待したい。

文=平田美穂(ひらた・みほ)
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