コラム

2年目迎える田中将大の進化 カギ握る2種類の「ドア」

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オープン戦2度目の登板も好投したヤンキース・田中将大[Getty Images]

新たなピッチングスタイルを模索する田中


 ニューヨーク・ヤンキースの田中将大が現地時間18日、アトランタ・ブレーブスとのオープン戦で先発し、4回途中まで被安打2、三振を3つ奪い、無失点に抑えた。

 結果だけではなく内容も素晴らしかった。その中でも特に初回のピッチングには、新たなピッチングスタイルの一端が見えた。

 先頭のペレスをツーシームでセカンドゴロに打ち取ると、2番のピーターソンは2ボール2ストライクから、フロントドアのツーシームで見逃し三振。続く3番のフリーマンに対してはインコースへのカットボールで追い込むと、最後はバックドアのスライダーで空振り三振に打ち取った。

 昨季、メジャーの強打者たちを悩ませたスプリットをそれほど投げず、カットボールやツーシームを中心に、内角や外角の低めをていねいについたピッチングだった。

 メジャー2年目で、相手球団は田中を徹底的に分析してくるだろう。追い込まれた後のスプリットを警戒し、早いカウントから振ってくることは明らかだ。となれば、ツーシームやカットボールで打たせて取るピッチングは、そういった打者に対して有効に働く。

 早いカウントで振ってくる打者を打たせて取れば、球数は当然減ることになる。18日の試合で田中が投げた球数は45球。1イニングあたりで換算するとたったの12.28球だ。

 昨季、田中の1イニングあたりの球数14.74球より2球以上も少なく、メジャーで最も少なかったロサンゼルス・ドジャースのカーショーの13.72球よりも少ない計算となる。サンプルとしては少ないものから導き出した数字だが、田中が新たなチャレンジをしていることは間違いないだろう。

 右ヒジのケガから復帰したばかりということもあり、ヤンキースは昨季以上に田中の球数に神経をつかっている。再発のリスクを最小限に抑えるピッチングスタイルは、チームにとっても心強いに違いない。

フロントドアは内角から、バックドアは外角から


 ところで、改めてこのフロントドア、バックドアとはどういう球だろうか。今季広島に復帰した黒田博樹がフロントドアを投げることからスポーツニュースなどで聞く機会も多いが、もちろん黒田だけが投げる球ではない。
 
 フロントドアとは、右投手が右打者に対し、スライダーやカットボールを内角のボールゾーンからストライクゾーンに変化させる球。左打者に対しては、ツーシームやシンカー系を内角のボールゾーンからストライクゾーンに変化させる。

 バックドアとは、右投手が右打者の外角ボールゾーンからツーシームやシンカー系を内側に曲げてストライクを取る球。左打者に対しては、スライダー系を外角ボールゾーンからストライクゾーンに変化させる。

 投手の左右問わず、内角のボールゾーンから入れる球がフロントドア、外角から入れる球がバックドアと考えれば覚えやすいだろう。

 まだオープン戦とはいえ、メジャー2年目にして「ドア系」のボールを自在に操るようになった田中。18日の試合後には、「いい動きを球がしてくれた」と語った。

 球を動かして打者を打ち取るスタイルを自分のものにしつつある田中が、メジャー2年目にどのような結果を残すか――。スプリットだけではない、田中の投球スタイルに注目が集まる。

文=京都純典(みやこ・すみのり)
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