これだけ打っても開幕はマイナー?その理由とは…
2週間後に迫ったメジャーリーグの2015年開幕。日本ではイチローや田中将大の動向などを目、耳にする機会が多いが、アメリカではある一人の若手選手に大きな注目が集まっている。
その選手とは2013年のドラフト全体2位でシカゴ・カブスに指名されたクリス・ブライアント三塁手。1992年生まれ、右打ちの23歳だ。1年半のマイナー生活を経て、このオープン戦10試合に出場し、すでに8本塁打を記録するなど、地元シカゴだけでなく、連日全米でその活躍が報じられている。
2014年は2Aと3Aで合計138試合に出場し、打率.325、43本塁打、110打点と格の違いを見せつけた。一方で162三振、三塁の守備では21失策と課題も残る。そんなブライアンとだが、2週間後の開幕はマイナーで迎える可能性があるという。
カブスだけではないが、マイナーで結果を残した新人選手を開幕ロースターに入れず、あえてデビューを5月以降にするという“手法”がメジャー全体に蔓延しているのだ。
メジャーに1年間在籍したと認められるには、172日の登録日数が必要となる。しかし5月以降に昇格させれば、その年の登録日数は満たさず、年俸調停権もFA資格の取得も1年先送りとなる。ブライアントもオープン戦でしっかり結果を残しており、実力的には開幕メジャーを勝ち取って不思議はないが、ビジネスの側面でマイナースタートが濃厚というわけだ。
メジャー昇格の時期はさておき、今年ブライアントはいったい何本アーチを描くのだろうか。メジャーでの新人選手による最多本塁打は1987年にマーク・マグワイア(当時アスレチックス)が記録した49本塁打。昨今の投高打低の状況ではこの数字に近づくことすら難しいだろう。
では、ナショナル・リーグの新人記録はどうだろうか。こちらは1930年のウォリー・バーガー(同ボストン・ブレーブス)と1956年のフランク・ロビンソン(同レッズ)が38本で並んでいる。もし早い段階でメジャー昇格を果たせば、更新の可能性も出てきそうだ。
ちなみに日本のプロ野球では、1951年に桑田武氏(当時大洋)と1986年に清原和博氏(当時西武)が31本塁打を記録しており、これが歴代新人最多記録である。
ブライアントがオープン戦で活躍していることで、メジャー昇格の時期をめぐる議論や新人による本塁打記録の話題などで盛り上がりを見せる。しかしファンとしては、若き大砲が開幕をメジャーで迎え、「38本塁打」、「49本塁打」という大記録を破るチャンスを得るブライアントの姿に期待してしまう。
はたして2週間後、ブライアントはカブスのスタメンに名を連ねているのだろうか…。