試合時間短縮のルールが本格的に導入
日米問わず、野球界において試合時間の短縮が大きな課題となっている。今年1月に就任したMLBのロブ・マンフレッド新コミッショナーは、就任会見で最重要項目として試合時間の短縮をあげたほどだ。
昨年のアリゾナ秋季リーグでMLBが試験的に導入した時間短縮のルールもあるが(攻守交代は2分5秒以内など)、今季から以下のようなルールがMLBで実施される予定だ。
・攻守交代は2分25秒以内、全米放送の試合は2分45秒以内
・打者は少なくとも片足がバッターボックスに入っていなければならない。ただし、空振りをしたときなどは外れてもよい
・監督がビデオ判定(チャレンジ・システム)を求めるときはベンチから出ず、投球から20~30秒以内に宣告しなければならない
攻守交替で、「全米放送」とあるのはCM枠の関係だ。アメリカの野球中継は原則的に全球放送する。CMが明けたらすでに1アウトだったといったことはなく、中継する側と球審が連絡を取り、CMが明けたらプレーをかけるようになっている。視聴者が多い、全米放送のほうがCM枠も長くなるというわけだ。
際立つ日本人投手の投球間隔の長さ
上記のルール以外にも、マイナーの3Aと2Aでは「捕手からボールを受けた投手は20秒以内に投球を開始しなければならない」というルールが実施される予定だ。効果が確認できれば、2016年のシーズンからメジャーでも導入される見込みだという。
日本でも投球間隔のルールはあるが、有名無実化しているのが実情で、アメリカでは徹底していく方針のようだ。
このルールに関するニュースで、“問題児”といった取り上げられ方をされたのが日本人投手たちである。
昨季、10イニング以上投げたメジャー全体で2番目に長かったのが田沢純一(レッドソックス)で平均31.8秒。レンジャーズの藤川球児も7位の29.8秒だ。
140イニング以上投げた投手では、今季広島に復帰した黒田博樹がメジャーで6番目に長い25.2秒。レンジャーズのダルビッシュ有が25.1秒で続き、マリナーズの岩隈久志も24.7秒で12位である。
日本人投手の多くが長い投球間隔になる理由こそはっきりしないが、自分の間を大事にする感覚がアメリカ人より強いのかもしれない。
投球間隔に関しては、まだメジャーで正式にルール化されたわけではないが、来季以降のためにも今から投球間隔を短くする意識を持っておく必要があることだけは間違いなさそうである。
文=京都純典(みやこ・すみのり)