投手では好調も…
昨季の2桁勝利&2桁本塁打に続き、今季は20勝&20本塁打に期待する声も上がる日本ハムの二刀流・大谷翔平。オープン戦では投手として11イニングを投げ10四球、防御率7.36、打者としても打率.190と低迷し、二刀流継続に警鐘を鳴らす声も少なからずあった。
しかしプロ3年目で初の開幕投手を務めた大谷は、その一戦で楽天のエース則本昂大との投げ合いを制し、オープン戦の不安を一掃する好投を見せる。大谷はその後も快投を続け開幕から4連勝。4月4日のオリックス戦から19日の楽天戦(完封勝利)まで現在22イニング連続無失点を続けている。
今季ここまで28回3分の2を投げ9四球と、まだ制球に課題は残るが、打者110人に対して、打たれた長打は僅か1本(19日の楽天戦8回裏に嶋基宏が二塁打)と、パワフルな投球は更なる進化を遂げ、他球団の打者を圧倒している。主な数字を見ても、両リーグで唯一の4勝、防御率はパ・リーグ2位、奪三振数は同トップの33個と申し分ない。しかし一方で今季は打者としては不振が続いている。
オープン戦でも結果が出ず、不安視されていた打者・大谷。開幕後もここまで打率.179、1本塁打、29打席で13三振と調子が上がらない。完封した楽天戦から中1日で迎えた21日の西武戦では3番指名打者として出場したが、4打数ノーヒット、3三振に終わった。オープン戦では投打に不安を残す形だったが、一変した投手・大谷とは対照的に打者・大谷は苦戦が続いている。
そこでやはり議論の対象になるのが二刀流を継続するべきかどうか、もしくは投打の比重をどうするかという点だ。チームは首位を走り、打線も12球団トップの82得点を挙げている。しかし最近4試合では僅か9得点しか挙げておらず、チームも1勝3敗と失速気味。打者・大谷の貢献も今後必要となるだろう。昨季は打者として87試合と限られた出場だったが、OPS(出塁率+長打率)はチームの主砲・中田翔のそれ(.800)を上回る.842をマーク。本来の力を発揮できれば昨季に続く10本塁打は十分達成可能なはずだ。
とはいえ、投手・大谷が進化を果たせば果たすほど、首脳陣が今後の起用法に頭を悩ますのは間違いない。引き続き“二刀流・大谷翔平”の道を歩むのか、打者は捨て“球界のエース”の道を歩むのか。いや、大谷なら“球界のエース兼大砲”という道を行くかもしれない。弱冠20歳の若者は無限の可能性を秘めている。