新加入の外国人選手がことごとく不発
2013年の日本一から一転、昨季は最下位に沈んだ楽天。今季もここまで10勝11敗2分と黒星が先行している(4月26日終了時点)。深刻なのは得点力不足だ。昨季の楽天は本塁打、得点ともにリーグ最低に終わった。しかも、チームの78本塁打のうち24本を記録したジョーンズは退団。日本人選手に長距離砲がいない現状では、長打は新加入の外国人に頼るしかない。
しかし、ペーニャはここまで本塁打0。サンチェスは3本、ウィーラーは1本と本塁打こそマークしているものの、それぞれ打率1割台と期待を裏切っている。チームの順位は4位と踏ん張っているが、得点はやはり最下位だ。
心配された盗塁成功率もリーグ平均以上
ちなみに、直近に200盗塁を達成したのは1997年の西武だが、それ以前となると1983年の阪急にまでさかのぼる。クイックモーションなど盗塁阻止技術が向上した現代野球において200盗塁という数字は非現実的な目標ともいえるが、宣言通り、今季の楽天選手は失敗を恐れずダイヤモンドを駆け巡っている。これまで記録した26盗塁は12球団トップ。
シーズン143試合に換算すると年間161個のハイペースだ。このままのペースでは残念ながら200には届かないものの、昨季、リーグ最多だった日本ハムの134盗塁をはるかに上回ることとなる。昨季のチーム盗塁数64がロッテと並びリーグワーストタイだったことを思えば、これは非常に大きな変化である。
開幕前、大久保監督は「350から400は盗塁企図する」とぶち上げ、成功率を心配する声も多かった。しかし、ここまでの成功率は72%であり、昨季のリーグ平均68%を上回っている。惜しむらくは、現状では得点にそれほどつながっていない点ではあるが、長距離打者がいない代わりに巧打者がそろうチームに盗塁という戦術が浸透すれば、いずれは得点力を上げていくはずである。
そして、何よりも「非力な現有戦力でもなんとか突破口を見いだそう」という姿勢には心を躍らせられる。長打、連打がなければ走ればいい——新生・楽天のアグレッシブな戦術が花開くときがきっとくるだろう。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)