イチローが残したインパクトとは…
現在メジャーリーグの公式サイト「MLB.com」で「Franchise Four(フランチャイズ・フォー)」という企画が行われているのをご存じだろうか。全30球団それぞれ8人の候補者から投票によって “最もインパクトを残した最高の4人”が各球団から選ばれる。
投票の締め切り時間(現地8日)が迫る中、野球統計専門サイトの「Fangraphs」が独自のWARという指標を用いて全30球団の候補者たちをランキング化している。WARとは、野手と投手を同じ基準で測るために、野手なら打撃・守備・走塁も加味して数値化。投手なら球場の特性(投手有利、打者有利など)も加味しており、近年は選手の総合評価指標として用いられることも多い。
候補者240人(30球団×8人)には、マリナーズからイチローが日本人で唯一選ばれており、最終4人に入るかどうかが注目されている。WARの数値を見ると、イチローは54.9とチーム史上3位。1位はケン・グリフィーJr.の67.6、2位はエドガー・マルチネスの65.5。そしてイチローに次ぐ4位に現役のフェリックス・ヘルナンデス(47.9)、5位にランディ・ジョンソン(45.5)が続いている。数値はあくまでもマリナーズ在籍時のもので、ジョンソンはダイヤモンドバックスでもノミネートされており、同球団でのWAR54.9は断然トップである。
「Fangraphs」のボビー・ミュラー氏は、WARの数値も加味したうえでグリフィーとマルチネスの2人は当確とみている。そして残る2枠をイチロー、ヘルナンデス、ジョンソンの3人で争うと予測しているが、イチローの残したインパクト(10年連続オールスター選出、2001年新人王&MVPダブル受賞など)から3番手に名前を挙げている。続く4番手にはジョンソンを推しているが、マリナーズファンが誰を選ぶのか最後まで分からないとしている。
マリナーズ以外で興味深いのはやはりヤンキースである。1位からベーブ・ルース(149.9)、ルー・ゲーリッグ(116.3)、ミッキー・マントル(112.3)、ジョー・ディマジオ(83.1)、デレク・ジーター(71.6)と名選手がずらりと並ぶ。メジャー歴代6位となる通算3465安打を放ったジーターですら最終4人に入るかどうか微妙という大激戦。ヤンキース以外なら、ジーターは多くの球団で1位に選ばれているだろう。
投票の締め切りが近づいているが、最終4人の発表は約2か月後のオールスターゲームで行われる。イチローは選出されるのだろうか。ヤンキースからはどの4人が選ばれるのか。これからの2か月間も全米では議論が続けられることになりそうだ。