セーブ機会に14回登板し、成功率は10割!
横浜DeNAが本当に強い。
打線の中心が本塁打、打点でリーグトップの筒香嘉智なら、投手では新人の山崎康晃がチームに欠かせない存在となっている。
昨季クローザーを務めた三上朋也がケガで離脱し、中畑清監督はルーキー・山崎をクローザーに抜擢。3月28日の巨人戦でプロ初登板を果たすと、同31日の広島戦でプロ初セーブ。4月22日の阪神戦から9試合連続セーブを記録した。1990年に与田剛(中日)が記録した8試合を更新する、プロ野球の新人記録である。
5月8日の巨人戦はセーブがつかない状況で登板したため、連続試合セーブ記録は途絶えたが、開幕からここまで、セーブがつく状況で14回登板し一度も失敗していない。
20試合に登板し0勝1敗、リーグトップの14セーブ。防御率は2.21だが、1イニングあたりに許した走者の数を示すWHIPは0.79。セ・リーグ各球団のクローザーの中では、バーネット(ヤクルト)の0.67に次ぐ好成績だ。
20回1/3を投げ、26奪三振。そのうち23三振が空振りと相手打者を圧倒している。奪三振率も11.51で、これはセ・リーグのクローザーの中でトップの数字だ。また、与四球は4つしかなく、与四球率は1.77で沢村拓一(巨人)の1.33に次いで少ない。
鋭く落ちるツーシームで対左打者の被打率.140
クローザーとしてDeNAの快進撃を支えている山崎だが、5月になってからのピッチングはまさに圧巻の一言だ。7試合で7イニングを投げ、23人の打者と対戦し打たれたヒットはたった2本。外野フライは2本で、ヒットのうち1本が内野安打であったため、外野に打たれたのは3本だけである。
また、23人の打者に対し9つの三振を奪っていて、三振率は39%。クローザーの条件として「三振を奪えること」とよく言われるが、数字の面からも山崎は適任と言える。
山崎の武器は150キロ近い速球に、フォークのように鋭く落ちるツーシームだ。スライダーやナックルカーブも投げるが、ほぼ2つの球種で抑えているといっていい。
ツーシームがとくに威力を発揮するのが、左打者に対したときである。左打者から逃げながら落ちるツーシームは、満足にほぼバッティングをさせていない。
左右打者別の被打率を見ても、右打者は打率.217に対し、左打者は.140とよく抑えている。左打者と50打数対戦し、20三振を奪っていることからも、山崎のツーシームがいかに鋭いかがわかる。
亜細亜大学の3年生だった2013年、山崎は明治神宮大会でリリーフとして活躍し、チームを日本一に導いた。その時にマスクをかぶっていたのが当時4年生で、DeNAでもチームメートの嶺井博希である。山崎が入団した後、一軍でバッテリーを組むのが目標と言っていたが、早くも実現し勝ち試合を何度も締めている。
大学時代に続き、このバッテリーが日本一を手繰り寄せる可能性はあるかもしれない。
※データはすべて11日現在
文=京都純典(みやこ・すみのり)