復活した寺原隼人は先発にリリーフにフル回転
プロ野球は、7月20日から後半戦がいよいよ開幕。ここで、スター選手に隠れてはいるが大きくチームに貢献した、あるいは良い意味で予想を裏切った、前半戦におけるパ・リーグ6球団の“陰の功労者”を選出してみたい。
巨大戦力で首位をひた走るソフトバンクからは寺原隼人。昨季まで2年連続で防御率4点台後半に終わった男が完全復活。5月に右膝の手術から復帰すると、先発にリリーフにフル回転の活躍を見せた。
チームでは武田翔太、スタンリッジの7勝に次ぐ5勝を挙げて負けなし。防御率1.62と安定感も抜群である。ただでさえ選手層が厚いソフトバンクに、さらなる戦力の上乗せをもたらした。
日本ハムの吉川光夫は、2012年には14勝を挙げて最優秀防御率のタイトルも獲得したものの、ここ2年は低迷。ややもすれば“統一球投手”と揶揄されることもあったが、今季は開幕から快調に勝ち星を積み重ねた。チームでは球界を代表するエースに成長した大谷翔平の10勝に次ぐ7勝(リーグ4位タイ)をマークし、復活を印象付けている。
秋山翔吾や“大阪桐蔭トリオ”などの打撃陣が注目される西武では、セットアッパー・増田達至の働きを推したい。昨季もチーム最多の22ホールドを挙げた右腕は、今季は42試合に登板して早くもリーグ最多の29ホールドを記録。強力打線の存在も大きいが、増田と高橋朋己による勝利の方程式あってこそのAクラスだろう。
“未完の大器”清田育宏がついに覚醒
良い意味で予想を裏切った選手の代表格がロッテの清田育宏だ。昨季はプロ入り最少の24試合の出場にとどまり、打率は.170と低迷。二軍では結果を残しながら一軍では不発に終わり、“未完の大器”と呼ばれ続けた男がついに覚醒した。7月に入り、徐々に数字を落としているのが気がかりだが、打率.322はいまだリーグ5位につける好成績である。
主力に故障者が続出している楽天は、内野ならどこでも守れるユーティリティー・プレーヤー・後藤光尊がいなければチーム事情も大きく変わっていたはず。今年で37歳になるベテランが、ここまでほぼ全試合に出場。11盗塁はチームトップであり、2011年にマークした自身最多14盗塁の更新も目前。大久保博元監督が掲げる「機動力野球」にも貢献している。
開幕から最下位を独走しているオリックスからは、貧打にあえぐ打線の中で孤軍奮闘したカラバイヨをピックアップ。期待された大型補強選手がことごとく不発だったが、BCリーグから復帰した推定年俸1000万円の男がチームトップの12本塁打をマーク。6月以降は不振に陥り、7月9日にはバリントン復帰のために登録を外れたが、ペナント序盤の貢献度は高い。
プロ野球は折り返し地点を通過して、いよいよ佳境に入っていく。今後は期待値以上の活躍をする選手次第で、チームの順位も大きく変わってくるだろう。メディアを賑わすスター選手のみならず、彼らのような選手たちにも注目していきたい。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)