シーズン終盤に強さを発揮する巨人
巨人が8月18日からの阪神戦で3連勝を飾った。それまで4カード連続で勝ち越し頭ひとつ抜けたかに思えた阪神だったが、巨人とのゲーム差が一気に縮まったことで、セ・リーグのペナントの行方は再び混沌としてきた。ヤクルトが少し調子を落としていることを思えば、ここからは、阪神と巨人の一騎打ちという構図なのかもしれない。
シーズン終盤に強いといわれる巨人。それはデータにもはっきりと表れている。いわゆる「メークレジェンド」の2008年以降7シーズンにおいて、開幕から8月までの勝率と、シーズン最終盤の9月以降での勝率を比較した場合、後者の勝率が低いのは2013年のただ一度である。
また、月別勝率を見てみると、7割以上の勝率を記録した月は9度あるが、2012年5月を除いて全て7月以降に記録されている。しかも、2012年の場合はシーズン勝率が.667と非常に高く、シーズンを通して圧倒的に強かっただけ。7月以降の勝率は.721と、やはり後半戦のほうが強さを発揮していた。
7シーズン通算の月別勝率であればさらに明白だ。開幕から7月までの月別勝率は全て5割台、8月以降は全て6割台である。しかも、8月は.615、9月は.639、10月は.643と、終盤に近づくにつれ勝率が上がっているのだ。
今季の巨人には不安材料も多い
一方の阪神はといえば、対巨人7連敗などで屈辱の逆転を喫した2008年以外にも、終盤に失速するシーズンが目立つ。先述の巨人と同様に、開幕から8月までと9月以降で勝率を比較した場合、後者の勝率が高いのは、7シーズンのうち2009年、2012年のみ。しかもこの2シーズンは3~8月の勝率が5割を割っており、シーズンを通して低調だったにすぎない。実際、2シーズンともBクラスに終わっている。
こう見ると、プロ野球の決まり文句である「開幕ダッシュ」よりも「終盤ダッシュ」のほうが重要なのではないかという気さえしてくる。
では、今季も巨人がこれから抜け出すのだろうか。ただ、ここまでの戦いぶりを見る限り、そう簡単な話でもなさそうだ。昨季も貧打が目立った巨人だが、今季はさらに深刻だ。阿部慎之助、村田修一らベテラン勢がそろって不振にあえぎ、チーム打率はリーグ最下位。
チーム防御率はリーグ唯一の2点台で随一の投手力を発揮しているものの、山口鉄也、マシソンらのリリーフ失敗も目立ち、盤石とは言いがたい。さらに、8連勝中の勝ち頭・マイコラスの離脱という痛いニュースも飛び込んできた。
果たして、“終盤ダッシュ”を決め、最後に笑うチームは阪神なのか巨人なのか。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)