頭部への死球で故障者リスト入りした青木
8月9日(日本時間)のシカゴ・カブス戦で頭部に死球を受け途中交代したジャイアンツの青木宣親。12日のアストロズ戦で復帰したものの、試合中に脳しんとうの症状が出たため、途中で退いた。翌13日に7日間の故障者リストに入った青木が、再び復帰したのは20日のパイレーツ戦のことだった。
6番レフトで出場した青木は3打数1安打。26日のカブス戦では慣れ親しんだ1番レフトで出場し、今季5号となる初回先頭打者を放った。
「去年だったら、ない打球。気持ちよかった」と自画自賛した青木の先頭打者本塁打はメジャー通算4本目。日本人メジャーリーガーでは、イチローの37本、松井稼頭央の9本に次ぎ、岩村明憲と福留孝介に並んだ。27日の試合では、本塁寸前でタッチアウトになる三塁打を放つなど、身体も打撃の調子も戻ったようでファンをひと安心だが、頭部への死球は毎度ヒヤリとさせられる。
近年、日米問わず頭部への死球が増えたようにも感じるが、要因のひとつには打者が死球や自打球から身を守るプラスチック製のレガースの存在があるのではないだろうか。レガースをつけることにより、肘への死球やすねへの自打球によるケガを防げるようになった。しかし、その心配が減ったことで、投球に対してこれまで以上に踏み込んで打つ打者が増えたように思う。踏み込むことにより、頭部付近に投球が来ても反応が少し遅れることは言うまでもない。レガースは肘やすねのケガ予防につながるが、だからといって“踏みこみ過ぎる”のは「頭」に関しては危険だ。
投手の頭部への打球直撃も急増
頭部に球が当たるケースは打者に限ったことではない。投手の頭部に打球が直撃するケースも増えている。
数年前に投手保護の声が高まり、メジャーリーグ機構は投手の頭部を保護するヘッドギアの導入と着用の義務化を検討した。スポーツ用品メーカー数社に、ベースボールキャップの内側に衝撃を緩和する人工繊維などをいれた試作品の製作を依頼したものの、機構側が「基準に達しない」と本格的な導入が見送られたことがある。
その後、改良を重ね、2014年のシーズンから緩衝材が入ったキャップを着用できるようになり、今年の5月にニューヨーク・メッツのアレックス・トーレスがメジャーの選手で初めて緩衝材が入ったキャップをかぶって登板し注目を集めた。
トーレス以外にかぶる選手は今のところいないが、理由のひとつにはキャップの重さがある。通常100グラムほどのキャップだが、緩衝材が入りは300グラムするという。たった200グラムといっても、頭の重さがそれまでと違えば投球に狂ってしまう。頭部を守っても投球が乱れてしまえば意味はないわけで、今後の課題となるだろう。
言うまでもなく、頭部への死球や打球直撃は生命に関わること。選手自身の意識改革もより必要になるだろうし、何らかの安全策を構築していく必要もある。打者のスイングスピードが上がり、投手のスピードも上がったこの時代だからこそ、「頭」を守ることを改めて考える時期だと思うのだ。
文=京都純典(みやこ・すみのり)