コラム

原巨人「崖っぷちのV4ロード」

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リーグ4連覇が少々厳しくなってきた巨人の原辰徳監督 [BASEBALLKING]
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 まるで2015年の巨人軍を象徴するかのような一戦だった。

 27日、首位ヤクルトと2位巨人が1ゲーム差で迎えたセリーグ首位攻防戦。日曜日の東京ドームには今季最多の4万6797人の大観衆が集結。立ち見客が通路にまで溢れ、都内の金券ショップでは通常2,200円の外野指定席が2万円近くまで高騰した。

 まさにペナントの行方を左右する天王山だったが、ヤクルトが2対1で競り勝ち優勝マジック「3」が点灯。巨人は再三チャンスを作りながらも、勝負どころでもう一本が出ず、わずか1得点に終わり連勝も5でストップ。残り4試合で首位まで2ゲーム差とV9以来のリーグ四連覇に向けて土俵際に追い込まれた。

 8回裏の一死三塁の同点のチャンスでは3番坂本と5番長野があえなく凡退。まさにリーグ最低のチーム打率.242と極度の貧打に苦しむチームを象徴するかのようなシーンだった。27日現在、チーム最多本塁打は阿部慎之助の15本。規定打席到達者の最高打率は坂本勇人の.272。20本塁打到達者ゼロは1960年以来55年ぶりの屈辱で、さらに2年連続の3割打者不在も2リーグ制後初の記録となる。残念ながら、今の巨人主軸は「球団史上最弱のクリーンナップ」と言っても過言ではないだろう。

 チャンスで打てない打線に対して、もはや野次を飛ばす気力もなく「あぁまたか」という溜め息だけが漏れる客席。今の巨人はレギュラーと控えの力の差がほとんどない「いい選手」が揃っている。だが、ヤクルト山田哲人のような一人で試合を決められる「凄い選手」はいない。だからファンは、未来の和製大砲を期待させる19歳のドラフト1位ルーキー岡本和真の1軍デビューを熱狂的に歓迎したわけだ。

 常に勝利と世代交代の両立を求められる原監督。一部スポーツ紙ではその去就も報じられ騒がしくなってきているが、ペナントはまだ終戦したわけじゃない。2015年シーズンの巨人ファンは、あまりの貧打に幾度となく「今季は終わった」と覚悟しながらも、百戦錬磨の男たちはギリギリで粘り続け簡単には終わらなかった。年間143試合を戦うプロ野球、絶対に負けられない戦いに負けても今日もペナントレースは続いていく。秋にはポストシーズンも控えている。

 V4へ挑み続けたペナントも残りわずか4試合。チーム今季最終戦の10月4日東京ドームのGS戦チケットはすでに立ち見席も含めオールソールドアウト。

 崖っぷちの原巨人に消化試合などない。

文=中溝康隆(なかみぞ・やすたか)
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