コラム 2015.10.14. 11:00

リーグ優勝の陰の立役者 大引啓次が見せる背中

無断転載禁止
ショートのレギュラーとして活躍したヤクルトの大引啓次 [BASEBALLKING]

ヤクルト優勝の要因として守備力の向上も見逃せない


 シーズンを1位で通過、クライマックスシリーズに挑むヤクルト。トリプルスリーを達成し、本塁打と盗塁王の二冠に輝いた山田哲人、首位打者の川端慎吾に加え、打点王の畠山和洋。同一球団の3人で打率、本塁打、打点の3冠を分けたのは、プロ野球史上初めてのことだった。この3人を中心とした打線でセ・リーグトップのチーム打率.257、最多の574得点を記録した。

 近年課題と言われてきた投手陣も、エースの石川雅規が13勝、館山昌平がケガから復帰し、秋吉亮、オーランド・ロマン、ローガン・オンドルセク、トニー・バーネットのリリーフ陣は12球団でも屈指の安定感を誇った。

 今季、ヤクルトが14年ぶりにリーグ優勝を果たした要因としてよくあげられるのが、この上記2点である。しかし、見逃せないのが守備の向上だ。昨季のヤクルトはリーグで2番目に多い97失策、守備率は.982。それが今季はリーグ最少の71失策に、守備率もリーグトップの.987を記録した。 

 守備力の向上に貢献したのが、日本ハムからFAで移籍してきた大引啓次だ。昨季、ヤクルトのショートは森岡良介の68試合を筆頭に6人の選手がスタメンで出場するなど、内野の要といえるポジションをなかなか固定できなかった。それが今季は、大引がケガで離脱したこともあったが、89試合でスタメン出場。要を固定できただけではなく、二遊間の“相棒”を得たセカンド山田哲人の守備力も格段にあがった。


背中で結果がわからないような選手に


 大引は、2006年の大学・社会人ドラフト3巡目で法政大学からオリックスに入団。ルーキーイヤーかたレギュラーを獲得し、確固たるポジションを築いてきたがチームの優勝とは縁がなかった。オリックス時代の6年間では2008年の2位が最高。最下位を3度も経験した。2012年のオフにトレードで優勝した日本ハムに移籍したが、2013年は最下位。

 優勝になかなか手が届かなかった選手が、前年最下位のチームに移籍した初年度に優勝と、こういったことがあるから巡り合わせというものはおもしろい。

 大引は、ショートの守備で12失策を記録し、特に派手なプレーを見せるわけでもないため目立つことはあまりない選手だ。感情を表に出すこともめったになく、淡々とプレーしている印象が強い。そういった姿の裏には、大引の浪速高校時代の恩師・小林敬一良監督(現・成美大監督)の言葉があるのではないだろうか。

 浪速高は、広いグラウンドがあるわけではなく決して恵まれた環境ではなかった。その中で、小林監督は日常のあらゆるものを野球のトレーニングにつなげ、チームを鍛え上げた。大引は高校1年夏からベンチ入りし、秋からはショートのレギュラーを獲得。2年の春にはセンバツに出場、ベスト8に進出した。キャプテンとして迎えた3年夏は甲子園出場こそならなかったが、大阪大会で5本塁打を放つなどチームをけん引した。

 大引は、野球の基礎を作り上げたのは高校の3年間と言い、小林監督は「自分が見てきた中で最高のキャプテン」と大引を褒めたたえる。そんな小林監督が、日ごろから選手たちに伝えていた言葉にこういうものがある。

「背中で結果がわかるような選手にはならないようにしなさい」

 打席で打ったら一塁へ全力で向かう。ヒットか凡打かの結果に関わらず、常に同じ背中を見せること。落胆や喜びといった感情を背中でわからせないようにすること。結果に心を左右されずにプレーすることで、相手につけいる隙を与えない。一見簡単そうに見えることだが、なかなかできることではない。

 クライマックスシリーズから日本シリーズへ――。日本一に向けた戦いのなか、大引の背中にも注目してほしい。

文=京都純典(みやこ・すみのり)

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