大舞台で好成績を残している真中監督
史上4度目となる新人監督同士の対戦となった今季の日本シリーズ。
第1戦は、ソフトバンクは先発全員の15安打。日本シリーズの1イニング連続打数安打のタイ記録となる6打数連続安打を記録するなど、打線でヤクルトを圧倒した。第2戦は、李大浩と中村晃に効果的な本塁打が飛び出し、投げてはバンデンハークがヤクルト打線を8回3安打、無失点に抑えた。ソフトバンクのいいところばかりが目立った第1戦、第2戦となった。
そんなソフトバンクの工藤公康監督は、ルーキーイヤーの1982年を含め、史上最多タイとなる14度の日本シリーズ出場を経験し、歴代4位の8勝をマークしている。西武時代の1986年、1987年には史上3人目の2年連続日本シリーズMVPに輝き、1991年とダイエー時代の1999年には優秀選手賞を受賞している。西武、ダイエー、巨人と3チームで日本一に輝くなど、優勝請負人とも言われた。
一方、ヤクルト真中満監督も日本シリーズで強さを発揮している。まず、ヤクルトのチーム自体が1978年の日本シリーズ初出場でいきなり日本一に輝いたのをはじめに過去6度出場し、負けたのは1992年の一度だけしかない。
真中監督の現役時代に目を移すと、ルーキーイヤーの1993年を含め日本シリーズに4度出場し、2001年には優秀選手賞を受賞している。また、日本シリーズ通算50打数以上では歴代3位の打率.365を記録。投手と野手の違いはあるが、真中監督も工藤監督同様にシリーズ男なのだ。
神宮球場を得意にしている投手が少ないソフトバンク
27日の火曜日から神宮球場に舞台を移すが、ヤクルトは神宮での日本シリーズで1995年の第5戦から7連勝中。日本シリーズ通算でも本拠地では13勝7敗(1978年の日本シリーズはホームゲームを後楽園球場で開催)で、負け越したのは1993年のたった一度だけである。
本拠地での日本シリーズを得意にしているヤクルトだが、プラスとなる材料はまだある。神宮球場でのソフトバンクの先発投手で予想されるのは、中田賢一、攝津正、ジェイソン・スタンリッジの3人だが、神宮球場を得意している投手がいない。
中田は、中日時代の2010年9月19日を最後に神宮球場で勝っていない。2009年から2013年までの5年で神宮球場では2勝3敗、防御率3.81。2011年は防御率5.40、2013年も防御率5.23と打ち込まれている。ソフトバンクに移籍後はピッチングスタイルに変化がみられるが、久しぶりの神宮球場でどのようなピッチングを見せるか。
攝津は、神宮球場で2勝1敗、防御率3.60と及第点の成績を残しているが、スタンリッジは神宮球場で通算4試合に登板し1勝1敗、防御率は8.10とかなり苦手にしている。登板した試合数が少ないとはいえ、ソフトバンクにとってはあまりよくないデータではないだろうか。
今季、神宮球場のマウンドは改装されたが、それでもまだほかの球場と比べてマウンドが低い。マウンドを頂点に外野へ向かってなだらかに低くなっていくのが一般的な球場の作りだが、神宮球場はマウンドが低く本塁近辺のほうが高くなっている。そのため、球の角度を武器としている投手にとって不利になる球場だ。今季、ヤクルトとソフトバンクの交流戦はヤフオクドームで行われていることからも、マウンドでの慣れという点でもヤクルトに有利となる気がする。
文=京都純典(みやこ・すみのり)