不運な骨折……シーズン半ばで戦線を離脱
メジャー7年目のシーズンを終えた、ボストン・レッドソックスの上原浩治。メジャーで登板した日本人投手では斎藤隆以来となる40代でのセーブを記録し、5月10日のトロント・ブルージェイズ戦では日米通算100セーブ目を記録した。
その後も順調にセーブを重ねていた上原を悪夢が襲ったのは8月7日のデトロイト・タイガース戦だった。9回途中に登板した際、打球が右手首を直撃し、骨折。そのまま残り試合を欠場することになった。
今季の成績は43試合に登板し2勝4敗25セーブ、防御率2.23。4敗を喫したものの、クローザーとして申し分ない成績を残したと言えるだろう。
怪我を治し、来季もクローザーと思われたが、11月13日にレッドソックスはサンディエゴ・パドレスとのトレードでメジャー通算225セーブのメジャーを代表するクローザー、クレイグ・キンブレルを獲得。それに伴い、来季の上原は8回を担当するセットアッパーに配置転換されると報じられた。
奪三振率が減り、与四球率が増加した今季
レッドソックス陣営は上原に不満があったわけではないだろうが、データを見ていくと不安な要素があることも確かだ。
今季、上原は40回1/3を投げ47個の三振を奪っている。奪三振率は10.49と高い。しかしこれは、リリーフに転向した2010年以降では最も低い奪三振率だ。また、与四球率は2.01とメジャー移籍後で最も高い。2.01という数字自体は優秀だが、抜群の制球力を誇る上原にしては高い数字なのである。奪三振が減り、与四球が増えるということ自体、数字で見ればよくない傾向であることは言うまでもない。
不安要素は、もうひとつある。今季、上原が打たれた本塁打は3本。9イニングあたりの被本塁打率は0.67とメジャー移籍後では2013年に次いで低い数字だった。
だが、打たせたゴロとフライの割合を見ると、ゴロ率が27%に対し、フライが56%、ライナーが17%となっている。ゴロとフライの比率(※GB/FB)は0.48。上原はもともとフライで打ち取るタイプだが、GB/FB0.48はメジャー移籍後で2番目にフライの割合が高い。昨季の0.71から比べると、フライを打たれる確率が大幅に増えている。
一般的に、ゴロの打球よりもライナーやフライの打球のほうが長打になる確率が高くなる。そういった点では、被本塁打率が下がったとはいえ、フライの増加は気になる点だ。
競った場面での登板が多くなるセットアッパーは、長打1本でも敗戦につながってしまうため、より注意深く投げる必要がある。来季はセットアッパーという職場に配置転換されることになるが、キレのある速球とスプリットでメジャーを席巻したあの投球を、もう一度取り戻してほしい。
(※)GB/FB
ゴロ打球(GB)の総数をフライ打球(FB)の総数で割り、ゴロとフライの比率を調べる指標。同じ数の場合は1となり、これより数値が大きくなるほどゴロの割合が高く、数値が小さくなって0に近付くほどフライの割合が高い投手となる。
文=京都純典(みやこ・すみのり)