マリナーズの補強ポイントにぴたりとはまった青木
サンフランシスコ・ジャイアンツからFAとなっていた青木宣親が、シアトル・マリナーズと1年550万ドル(約6億6000万円)で契約した。2年目はオプションが付き、480打席以上に立ち、なおかつ、今季の終盤に悩まされた脳震とうの後遺症で故障者リスト入りしなければ契約更新となる契約内容だ。
マリナーズのディポトGMは、DHを含む外野手5人で3つのポジションをローテーションで回していく構想を示唆する一方で、青木に関しては不動のレギュラーとして外野の3つのポジションを守る1番打者としての起用を明言した。
マリナーズの1番打者といえばイチローとイメージする人も多いだろうが、青木は来季からその道を進むことになった。イチローと比べられる機会が増えると思うが、メジャー移籍後の青木はどういった成績を残してきたのだろうか。ここで改めて振り返ってみたい。
2012年から今季まで青木はメジャーで531試合に出場、打率.287、出塁率.353、24本塁打、156打点を記録している。打率こそ日本時代を考えれば物足りなく映るかもしれないが、出塁率はイチローのメジャー通算.356と比べてもそん色ないものだ。近年イチローの出塁率が急落しているとはいえ、青木とイチローの出塁能力は大きな差がない。このオフ、マリナーズの補強ポイントのひとつは出塁率の高い外野手だったが、青木はそれにぴたりとはまる選手だったということになる。
昨季は下がっていた長打力も回復傾向に!
青木が高い出塁率を維持できる要因は、四球を選べることだ。ディポトGMも指摘していたが、青木はメジャー通算で169個の三振を喫しながらも四球はそれを上回る171個選んでいる。三振が少なく、四球が増えれば出塁率は自ずと上がる。
また、今季は長打力が上がったのも明るい材料だろう。長打率から打率を引き、選手の長打力を計るISOという指標が、メジャー初年度の2012年は.144だったものの、2013年は.084、昨季は.075と落ちてきていた。しかし、今季は.093と回復傾向にある。マリナーズの本拠地、セーフコ・フィールドは投手有利の球場と言われているが、出塁率が高く、長打力も回復しつつある青木の加入は、マリナーズ打線にとってプラスに働くだろう。
イチローのようにシーズン200安打以上といったヒットメーカーに青木はなれないかもしれないが、四球を選べる出塁能力と回復傾向にある長打力で、イチローとはまた違うタイプの1番打者としてマリナーズに貢献する可能性は大いにある。
文=京都純典(みやこ・すみのり)